2008 Fiscal Year Annual Research Report
結晶光子場によるコヒーレント共鳴励起を用いた原子物理
Project/Area Number |
19104010
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
東 俊行 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 教授 (70212529)
|
Keywords | 原子・分子物理 / 量子エレクトロニクス / 加速器 / 量子ビーム / 放射線,X線,粒子線 |
Research Abstract |
高速イオンが結晶という周期的配列を通過する際,イオンは時間とともに変化する振動電場を感じる。振動電場の周波数に相当するエネルギーがイオンの内部自由度の準位差に一致すれば,イオンは共鳴的に励起され得る。H20年度は、初年度の成果をもとに2つのテーマに対して研究を展開した。 [1]HIMACにおけるダイナミクス研究では,He-like Ar16+イオンを対象として,3次元RCEによるラダー型2重共鳴(1s2→1s2p→2p2)を適用した。これにより逐次励起による2重電子励起状態生成を試みた。結晶通過後のイオンの電荷分布では,2重共鳴励起条件でイオン化割合が増加することを確認した一方で,2重励起状態からの脱励起X線,あるいはイオン化後のH-likeイオンからの脱励起X線の増加を測定した。これらから2重励起状態を選択的に生成されたことが明確に確認された。また,2次電子観測によるRCEの観測を開始した。共鳴励起後,入射イオンのイオン化に伴って2次電子が放出される。この2次電子は入射イオンと等速で前方へ放出され,コンボイ電子と呼ばれる。He-like Ar16+に対して共鳴条件下でコンボイ電子収量が増加することを観測するとともに、そのエネルギー幅の狭窄化を見いだした。これは励起状態の電子運動量を反映しており,選択的に励起したイオンの波動関数の情報が抽出されことを見いだした。 [2]GSIにおけるスペクトロスコピー研究のためには,昨年度に引き続き、GSIへ赴いて,ゴニオメータの調整、制御ソフトの点検、真空チェンバーの搬入を行った。脱励起X線を観測するために必要な真空中で動作する新しいSiドリフト検出器を複数台導入し,外部からの温度制御によって正常動作することを確認した。
|
Research Products
(4 results)