2009 Fiscal Year Annual Research Report
固体惑星起源物質としての非晶質珪酸塩の重要性とその初期進化
Project/Area Number |
19104012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土山 明 Osaka University, 理学研究科, 教授 (90180017)
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Keywords | 非晶質珪酸塩 / オリビン / エンスタタイト / スターダスト / 彗星塵 / はやぶさ / 星周塵 / 水質変成作用. |
Research Abstract |
太陽糸初期における原材料物質としての非晶質珪酸塩の加熱結晶化実験を、様々な化学組成と作成方法の異なる出発物質について、昨年度に引き続き進めた。これにより、星周塵の赤外天文観測においてこれまで未同定であったピークが、多量の積層欠陥をもつエンスタタイトとして同定できることを示した。また、一連の結晶化実験をコンパイルすることにより、星周塵の化学組成に制限を与えた。さらに、作成したカンラン石の粒子形状および凝集状態を制御することにより、赤外吸収スペクトルに及ぼす影響を明らかにした。これらの一連の研究により、昨年度提唱した「ガスからの非晶質珪酸塩の凝縮とその後の結晶化」という星周塵形成モデルの確証をおこなった。一方、非晶質珪酸塩の水質変成実験を進め、水-岩石比の重要性を確認した。 スターダスト計画によって採取されたWild-2彗星の塵粒子の分析を、昨年度に引き続き進めた。彗星塵のエアロジェルへの超高速衝突で形成されたトラックの3次元形状測定をもとに、新たに衝突トラック形成モデルを提唱し、さらにトラックを形成した彗星塵の密度を世界に先駆けて求めることに成功した。その平均密度(1.01g/cc)は彗星や彗星起源の宇宙塵の密度よりもやや大きく、またコンドリュールなどの高温粒子を5vol.%程度含むことを明らかにした。この値は今後の初期太陽系進化モデルを議論する上で、重要なものである。 はやぶさ計画によって撮影された小惑星イトカワの近接表面画像の解析と隕石との比較をおこなうことにより、イトカワ表面には角礫岩と衝撃溶融岩と考えられる2種類の岩相をもつ岩塊が存在することを示した。
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Research Products
(25 results)