2007 Fiscal Year Annual Research Report
低配位及び多重結合高周期典型元素化合物の創製と物性に関する系統的研究
| Project/Area Number |
19105001
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
関口 章 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90143164)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 雅聡 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90271858)
LEE Vladimir 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90375410)
中本 真晃 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90334044)
|
|---|
| Keywords | 高周期典型元素 / ケイ素 / ジシレン / ジシリン / シリルラジカル / 芳香族化合物 |
|---|
| Research Abstract |
ケイ素二重結合化合物に関する研究:シリル金属種(シリルアニオン種)は有機ケイ素化合物の構築において重要な活性種であり、これまでに種々のsp3シリルアニオン種(R_3Si-M型化合物)の合成法、構造、反応性が明らかにされてきたが、ビニル金属種やアリール金属種のケイ素類縁体(sp3シリルアニオン種)は、ほとんど報告例の無い未知化合物であった。本研究では、トリアルキルシリル基で完全に置換されたケイ素=ケイ素二重結合化合物(テトラシリルジシレン)を鍵化合物として、アルカリ金属置換ジシレンの合成・構造解析に成功した。また、各種求電子剤との反応ではケイ素=ケイ素二重結合を保持したまま対応する置換ジシレンに誘導できることを明らかにした。
ケイ素芳香族化合物に関する研究:4員環6π電子系化合物であるシクロブタジエンジアニオンのケイ素類縁体テトラシラシクロブタジエンジアニオンをジアルカリ金属塩として合成することに成功し、その分子構造をX線結晶構造解析で決定した。その結果、折れ曲がったケイ素4員環骨格を持ち、非芳香族性であることを明らかにした。また、シクロブタジエンジアニオンを出発物質として、テトラシラシクロブタジエン-遷移金属錯体の合成に成功した。
常磁性ケイ素化合物に関する研究:ケイ素-ケイ素三重結合化合物ジシリン、ケイ素-ケイ素二重結合化合物ジシレンの1電子還元により対応するアニオンラジカル種を合成することに成功した。X線結晶構造解析、各種分光法によりジシリンアニオンラジカルでは、負電荷、スピン共に二つのspケイ素上に非局在化しているのに対し、ジシレンアニオンラジカルでは一方のsp2ケイ素に負電荷が、もう一方のsp2ケイ素にスピンが局在化した非対称な構造を持つことを明らかにした。
|
