2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルポリマーのSOMO設計と全有機二次電池の創製
Project/Area Number |
19105003
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西出 宏之 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90120930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳津 研一 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90277822)
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Keywords | ラジカルポリマー / 電極活物質 / 有機電気化学 / 超構造 / 二次電池 |
Research Abstract |
本研究は、安定ラジカル種が関与する電子移動過程の確立を基盤として、SOMOのエネルギーレベルと不対電子の非局在化度を両立させる設計により、究極の密度でかつ安定にレドックス席を有するラジカルポリマーを合成することを目的とした。具体的には、膜抵抗の低減によりポリマー内での迅速かつ大容量の電子移動過程を達成すること、イオン輸送性を高めた新しい活物質の設計により、電解質および電解液の大幅な削減を可能とすること、さらに、これら基礎的追究から得られる知見を総合し、「次世代有機ラジカル電池」として確立することを目指して研究展開した。本年度の成果概要を以下に記す。 (1)安定ラジカル種の有機電気化学 安定ラジカル種であるテトラメチルピペリジニルオキシ、ニトロニルニトロキシドおよびガルビノキシルなどの電子移動速度を実測した。サイクリックボルタンメトリー、ACインピーダンス測定によるナイキストプロットなどから定量し、電極表面の微細構造も含め詳細に解明した。 (2)SOMO制御によるラジカルポリマーの設計 ラジカルレドックス席のSOMOレベルと標準酸化還元電位を把握した。主鎖への結合や置換基の導入に伴うSOMOレベルの変化を計算予測し、電位と速度定数の実測値と関連させ、正・負極活物質に適したレドックス席を絞り込んだ。また、レドックス席を酸化型、還元型の両酸化状態で単離し、活物質としての化学安定性および耐久性を明らかにした。次に、選定されたレドックス席をモノマー単位で高密度に含む側鎖型ラジカルポリマーを設計した。ラジカルあたりの分子量から理論容量を算出し、高いSOMO密度が得られる主鎖構造を選定した。高容量が得られる骨格の合成ルートを確立し、ラジカルまたは前駆部を持つモノマーを合成した。 以上により、次年度に新規負極材料の開拓および物質移動制御による高容量化に着手するための基礎を確立できた。
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Research Products
(8 results)