2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機界面の構造と電子構造:理想界面と実デバイスを貫く新しい学理の実験的探求
Project/Area Number |
19105005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
関 一彦 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (80124220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 要 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (10345845)
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Keywords | 超薄膜 / 有機電子デバイス / 方面・界面物性 / 有機半導体 / 電界発光素子 |
Research Abstract |
1.高秩序試料を用いた界面電子構造の精密解明:p型有機半導体ペンタセンの超薄膜をCu(110)基板上に作製し、その特異な界面電子構造の詳細を明らかにした。また、n型材料フッ素化フタロシアニンの超薄膜を無機半導体GeS単結晶表面に作製し、界面電子構造の詳細を明らかにした。これらの成果は、有機分子と金属表面電子との相互作用の詳細に迫るものであり、有機デバイスの重要課題である有機薄膜/電極界面での電子準位接続に関する重要な知見を与える。 2.実デバイス関連界面の解明と制御:より実デバイスに密着した有機/金属電極界面のモデル系として、有機/金属多結晶基板界面での電子構造、電子準位接続を解明した。具体的には、(1)有機電界発光素子の正孔注入層として知られる銅フタロシアニン薄膜や、n型材料ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)と各種金属基板の間の電荷注入障壁を系統的に調べ、金属の仕事関数と障壁の関連性を解明した。(2)有機太陽電池で高い素子性能を与えるフラーレン誘導体PCBMの電子構造を始めて解明し、有機太陽電池で陰極材料として使用されるAg電極との界面の電子構造を明らかにした。これらの成果は、実デバイスの動作原理の理解に直接的な情報を与える。 3.有機/無機半導体界面への展開:諸種の不飽和分子の水素終端シリコン表面への反応を検討し、次年度に予定している軟X線吸収や紫外光電子分光による評価の準備を行った。 4.有機界面に適した新手法の開発と新情報:有機物の非占有電子構造を直接調べられる逆光電子分光装置を開発し、これまで有機物の測定で問題だった電子線照射損傷を劇的に低減できる装置の製作に成功した。また、大気から超高真空に至る様々な雰囲気下で、有機薄膜のイオンエネルギー等の電子構造を観測可能な光電子収量分光装置を開発し、チタニルフタロシアニン薄膜への各種気体の効果を詳細に調べた。
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