2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機界面の構造と電子構造:理想界面と実デバイスを貫く新しい学理の実験的探求
Project/Area Number |
19105005
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
金井 要 東京理科大学, 理工学部・理学科, 准教授 (10345845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 幸雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60194081)
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Keywords | 有機半導体 / 界面電子構造 / 光電子分光 / 逆光電子分光 / 有機エレクトロニクス / 導電性高分子薄膜 / 有機ビラジカル分子 / 有機太陽電池 |
Research Abstract |
(1) 有機試料用逆光電子分光(IPES)の高性能化と、活用:これまで、本プロジェクトでは、有機試料用IPESの検出・器の高効率化、高分解能化、劇的な試料電流の低減などを実現し、多くの有機試料のIPES測定が可能になっている。平成22年度は、この利点を生かし、光電子分光(UPS)とIPESを組み合わせて、有機EL素子の青色・白色発光材料として知られている多くのポリフルオレン誘導体薄膜界面のフェルミ準位近傍の電子構造を明らかにした。この系統的な研究成果は、これまで非常に限られた研究例しか無かった、ポリフルオレン誘導体の電子構造の成り立ちを明らかにし、今後、新たな発光材料の設計への指針を与える事が期待される。 (2) 新しい界面への展開:太陽電池の機能発現にとって重要な有機/有機界面の電子構造はほとんど調べられていなかった。本プロジェクトでは、昨年度は、そこで、有機太陽電池(OPV)の典型的な材料であるC_<60>またはC_<60>誘導体であるPCBMと銅フタロシアニンの有機層間の界面をUPSとIPES、およびXPSを用いて詳細に調べた[K. Akaike, K.Kanai, et al., Advanced Functional Materials, 20, 1-7, (2010)]。平成22年度は、これを、より実用的な導電性高分子P3HTとPCBMのOPVバルクヘテロ界面へ発展させた。これまでに、UPS、 IPESに加えて、光電子顕微鏡(PEEM)を用いて、界面構造とその電子構造の対応について、詳細な知見を得るに至っている。また、非常に小さなエネルギーギャップを有する新規材料である有機ビラジカル分子性薄膜について、その特異な薄膜構造と電子構造についての研究を進め、研究報告を行った。
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