Research Abstract |
1。 FeOCl型層状構造を有する・-TiNClへのインターカレーションについて調べ,アルカリ金属および有機塩基のピリジンのインターカレーションに成功した。それぞれ,16Kおよび8.3Kの臨界温度を有する新規超伝導体となることを明らかにした。X線Rietveld構造解析により,インターカレーションにともなう構造の変化についても詳細に調べた。 2。 カゴ状構造の超伝導体合成を目的として,C_<60>の3次元重合体の超高圧高温合成を行った。斜方晶Immmポリマーに続き,三方晶R3^^-ポリマーの合成に成功し,構造を明らかにした。 3。 研究分担者浴野による層状超伝導体α-KxTiNClの低温(5K)STM測定では,表面原子像の観測に初めて成功した。観測された原子斑点間隔はX線回折データと良く一致する。この最表面原子は金属Ti原子であると考えられるが,原子の種類を同定するために詳しく調べている。超伝導ギャップに関しては,強結合の部類に属するという結果を得ており,これはβ型HfNClのものと同様である。 4。 NMRによる研究では,層状窒化物Li-HfNClにおける窒素核のNMR緩和率の測定から,磁束格子の運動に関する情報を得ることができ,これまでにわれわれが報告した電子構造の低次元性を再確認した。また,新しい擬1次元構造を持つLaSi5について,La-NMRを行い,Laサイトの局所電子構造に関する情報を得た。この情報をもちいて,核磁気緩和率の温度依存性から転移温度直下にコヒーレンス効果を見いだし,BCS型のs波超伝導であることを明らかにした。 5。 PLD法を用いて超伝導窒化物薄膜ReN_xを合成し特性を調べ,x=0.22まで増加すると超伝導転移温度が金属Reの1.6Kから4.8Kまで上昇することを見出した。さらにPLD法によりLiドープBN薄膜を合成し,LiドープによりBNのバンドギャップが初めて制御できたことを示唆する光吸収スペクトルを得た。また,30K級超伝導体で知られるBa_<1-x>K_xBiO_3の母物質であるBaBiO_3のエピタキシャル薄膜を合成し,エピタキシーの効果でバルクと異なり室温で立方晶を保っていることを見出した。
|