2010 Fiscal Year Annual Research Report
周波数検出型AFMに基づく大気・液中ナノ空間相関計測・制御法の開発
Project/Area Number |
19106001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 啓文 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40283626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 圭 京都大学, 産官学連携本部, 助教 (40335211)
平田 芳樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 主任研究員 (10357858)
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Keywords | FM-AFM / マルチプローブAFM技術 / KFM / 振動散逸エネルギー / 有機分子薄膜 / ナノ刺激応答 / 駅流高分解能イメージング / 生体イメージング |
Research Abstract |
金属ナノロッドやカーボンナノチューブなどの1次元ナノ構造体は、その構造異方性に起因する特異な物性や、低次元性に起源をもつ特異な電子状態をもつことから、新規機能材料として注目を集めており、その微視的電気伝導機構やナノスケールでの位置制御技術が強く求められている。H22年度の研究では、シリコン熱酸化膜上に孤立堆積した金ナノロッドに対して、導電性探針をナノスケールで位置決めして試料との接触状態を制御しながら電気特性の計測をおこなった。圧電素子の伸縮による慣性駆動を利用したプローブスライダを用いて10mmオーダーでの精密位置決めをおこなった後、探針表面を白金コートした2つのAFMプローブを対電極として用い、金ナノロッドへの接触力を20nN以下で一定となるよう制御して電流計測をおこなった。得られた電流・電圧特性から接触抵抗の影響を加味して算出した抵抗値は数十Ωオーダーであり、バルク導電率から求めた理論値65Ωと充分に整合する結果が得られた。本計測を通じて2つのAFMプローブをナノ構造へ位置決めし、試料を破壊することなく静的に電気的コンタクトを取る一連の行程を確立できたことは大きな成果である。また、金ナノロッドとシリコン基板との吸着力が小さいことを利用し、金コートしたプローブで金ナノロッドを拾い上げることにも成功した。この際、拾い上げに用いたプローブは、探針部への金ナノロッド付着により観察機能を失うが、他方のプローブで拾い上げ前後の基板状態を観察することができた。本結果により、より微細な分子制御・操作への応用に向けて、マニピュレーション用プローブ・観察用プローブを分化して連携制御する必要性が浮き彫りとなった。
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