2011 Fiscal Year Annual Research Report
周波数検出型AFMに基づく大気・液中ナノ空間相関計測・制御法の開発
Project/Area Number |
19106001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 啓文 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40283626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 圭 京都大学, 産官学連携本部, 助教 (40335211)
平田 芳樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 主任研究員 (10357858)
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Keywords | FM-AFM / マルチAFMプローブ技術 / KFM / 振動散逸エネルギー / 有機分子薄膜 / ナノ刺激応答 / 液中高分解能イメージング / 生体分子イメージング |
Research Abstract |
分子結晶や分子ワイヤなどの低次元ナノ構造体は、新規トランジスタや配線などへの応用に向けた新たなナノ機能材料として関心を集めており、その微視的電気特性の解明が望まれている。本年度の研究では、マルチプローブAFMを用いて、無置換オリゴチオフェン6量体結晶およびポリジアセチレン分子薄膜の局所電気伝導を計測した。シリコン熱酸化膜表面に作製した周期溝構造上に蒸着成膜したオリゴチオフェン孤立結晶に対して、2つのAFM探針を局所電極プローブとして用い、シリコン基板へのバイアス電圧印加で両プローブ間の電流量が変調される電界効果トランジスタ特性を計測した。算出したホール移動度は蒸着電極等を用いた巨視的な計測で報告されてきた値の100倍程度となり、微細化・高結晶化した分子結晶では規則的に配向した分子が良好な電気伝導特性を示すことが明らかになった。また、ジアセチレンモノマー分子に紫外線を照射して重合成膜したポリジアセチレン試料上に、一方のプローブを接触させてバイアス電圧を印加して電荷注入をおこない、これと同時に、他方のプローブでケルビンプローブフォース顕微鏡による膜電位計測をおこなった。重合処理前のモノマー試料では電位変化が観察されなかったが、重合後のポリマー試料においてはバイアス電圧に対応した電位変化が検出され、重合処理によって生じたジアセチレン主鎖間の電荷輸送を電位変化として計測することができた。 さらに、マルチプローブを用いた生体試料計測への応用として、基板上に固定した導電性バイオナノワイヤー(シュワネラ・オネイデンシス株のべん毛)の電気伝導性の直接評価を試み、局所的な導電度や導電度の異方性について、通常の巨視的計測結果との比較等を行った。 以上の結果より、将来の分子ワイヤ応用や有機分子系の電荷輸送機構の解明に向けた基盤研究として、マルチプローブAFMを用いた局所的な刺激応答計測が有望であることが示された。
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Research Products
(14 results)