Research Abstract |
本研究は,積層微細構造を広範囲一括で金型転写できる技術を開発することが目的である.積層微細構造の転写技術は,諸機能を融合した光学素子を製作する上で重要なもので,ディスプレイや大面積照明のための素子のためには,より高速で,より安価な広範囲技術が求められる.これを実現するための本テーマの新手法は,成膜プレス反復機構とせん断変形機構の2つである.成膜プレス反復機構とは,光の波長程度の厚さのフィルムをプレス転写と熱溶着を繰り返すことで,積層微細構造を得ようというものである.せん断変形機構とは,多孔質の下地膜の上に誘電体膜を積層しておいて,上から金型を高速でプレスすることで膜に垂直な方向にせん断し,1層分だけずれる,という手法である. 成膜プレス反復機構において本年度で行ったことは,1μmと薄いPMMAフィルムをスピンコートで製作し,ピッチ800nm,深さ300nmの溝構造を転写したものを積層する際に,フィルム裏面からあてた白色光の回折光強度をモニターすることで,位置合わせ可能であることを確認した.2枚目のフィルムを微動台で溝に垂直な方向に移動させると,回折光強度の増減が確認できた.次に,せん断変形機構においては,下地膜として垂直配行カーボンナノチューブの膜を用いた.厚さ20μmのカーボンナノチューブ膜をそのままプレスしたところ,押付けた部分だけ凹み,それ以外の部分は垂直配行が保たれたままであることを確認した.次に,カーボンナノチューブの上にSiとSiO2をそれぞれ厚さ200nmに成膜したものに歪速度1000[s-1]でプレスしたところ,型のエッジ部分でせん断が起き,ずれることが確認できた.
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