2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・マイクロレベルの革新的熱物性センシングとその応用
Project/Area Number |
19106004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長坂 雄次 Keio University, 理工学部, 教授 (40129573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70261196)
田口 良広 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (30433741)
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Keywords | 熱物性センシング / 高空間・時間分解能 / レーザー計測技術 / マイクロ・ナノスケール熱工学 / 熱・物質移動 |
Research Abstract |
平成20年度は前年度に開発した要素技術の更なる高度化を目指し、以下に挙げる具体的な研究実績を得るに至った。 1.近接場光学熱物性顕微鏡の開発:液中のナノ蛍光粒子および固体試料表面の近接場光学応答を非常に高い感度かつ高い空間分解能で検出し、試料の熱物性情報を抽出可能なナノレベルのセンシング技術を構築した。 (1)開口径100〜500nmの近接場プローブを用い、溶液中の蛍光ビーズに対して蛍光相関分光をおこなった。ビーズのサイズ比を厳密に反映した相関時間の比を得たが、相関時間の絶対値は理論的予測値から大きく乖離しており、プローブ先端におけるビーズの異常な拡散を反映している可能性が高いと結論付けた。 (2)相変化材料に対し、フェムト秒パルス照射による構造変化を誘起した。電子顕微鏡観察により溶融を経由しない構造変化である可能性が高いこと、またパルス幅・フルエンス依存性から、瞬間的な電子励起が構造変化に本質的であることを確認した。 2.レーザー誘起表面波法の開発:振幅がナノメートルオーダー、波長がマイクロメートルオーダーの人工的な表面波を誘起する革新的計測技術を構築し、液体試料の粘性率、表面張力を高精度に測定するシステムを構築した。 (1)光ファイバ融着接続機を用いたファイバーシステムの構築により非常に高いSIN比を達成した。 (2)血液などの非ニュートン流体への適用性について理論的・実験的に明らかにした。 3.ソーレー強制レイリー散乱法の開発:液体中にレーザー励起温度格子を生成し、縞状温度変化に誘起された正弦波状の濃度勾配(ソーレー効果)の減衰時定数を検出することで、液体の拡散係数を高速かつ高精度に測定可能なシステムを構築した。 (1)2位相DSPロックインアンプとハイパワーベンチトップタイプレーザーシステムを用いた高感度検出システムを構築した。 (2)3成分ポリマー溶液の交差拡散現象を初めて観察することに成功した。
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