2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートル誘電体薄膜の電子物性の理解と制御の研究
Project/Area Number |
19106005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥海 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50323530)
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Keywords | 界面ダイポール / XPS / ESR / Higher-k膜 / GeO2 / Fermi-level Pinning |
Research Abstract |
H22年度は、計画に記したとおり、Higher-k相の出現、High-k/SiO2界面に形成されるダイポール、さらにGeO2中の欠陥評価という観点から研究を進め、以下の進展を得ることができた。 (1)Higher-k相の出現に関しては、特にHfO2薄膜の高温安定相(立方晶HfO2)を低温で出現させることに成功しているが、この立方晶の室温安定性に関して解析を進め、相変化の温度依存性から活性化エネルギーを求めることによって相変化に対する明確な表式を得ることができた。 (2)High-k/SiO2界面のダイポール形成に関しては、x線光電子分光法(XPS)による直接検出を試み、SiO2側のバンド変調を詳細に調べることによって、High-k/SiO2界面において真空レベルに段差が起きていることが示された。また、このダイポールの向きがSiO2上に堆積するHigh-k材料によることもXPSを用いて明らかにされた。 (3)絶縁膜中の欠陥に関しては、GeO2をモチーフにすることによって、酸素欠損を導入したサンプルでは極めて顕著な光吸収特性が観察されている。同様に作製されたサンプルを用いてESR測定をすることによって、プロセス(酸素導入度)に応じた欠陥が明瞭に計測された。ESRの結果だけから欠陥の構造を同定できないが、酸素欠損起因のESR信号であることは間違いない。GeO2の膜質の直接的評価になりうるものを捉えることができたと言える。 以上のように、今年度も極めてHigh-k絶縁膜に関して極めて新規性が高い結果を得ることができた。
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