2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス吸着タンパク質を用いた環境中からの病原ウイルスの濃縮・検出・同定技術開発
Project/Area Number |
19106009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 達夫 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
渡部 徹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10302192)
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Keywords | 病原ウイルス / ウイルス吸着タンパク質 / アフィニティクロマトグラフィー / VBP固定化 / ブロッキング / EVE法 / 牡蠣 / リパーゼ |
Research Abstract |
(1)腸管系ウイルス吸着タンパク質の分離 腸管系ウイルス吸着タンパク質を分離するために,本年度はアフィニティクロマトグラフィーで使用するアミノ酸配列を決定した。まず,水環境を汚染する複数の病原ウイルスの外殻タンパク質の外側露出部分におけるアミノ酸配列をデータベースから可能な限り取得し,これらアミノ酸配列のアライメントを作成し,相同性の高い10残基程度のアミノ酸配列を検索した。 (2)ウイルス吸着タンパク質(VBP)固定カラムによる水中病原ウイルス濃縮・検出技術の開発 ガラスビーズへのVBP固定化法を確立し,VBP固定化ガラスビーズへの非特異的吸着を抑制するためのブロッキング手法の検討を行った。ガラスビーズへのVBP固定は,アミノシランでカップリングしたガラスビーズにグルタルアルデヒドとの架橋作用でVBPを固定する方法を確立した。VBP固定化ガラスビーズへの非特異的吸着を抑制するブロッキング剤にはエタンールアミン,キトサン,カゼインの3種類について検討したところ,カゼインやキトサンが高いブロッキング効果を示し,VBP固定化ガラスビーズへの非特異的吸着の抑制に成功した。 (3)酵素を用いたウイルス誘出法(EVE)による牡蠣中腸腺からのウイルス回収技術の開発 酵素を用いたウイルス誘出法(EVE法)を用いた牡蠣中腸腺からのウイルス誘出手法の開発を試みた。添加する酵素としてアミラーゼ,ペプシンおよびリパーゼを用い,ポリオウイルスを添加した牡蠣中腸腺からのウイルス回収率を定量PCR法により評価したところ,アミラーゼまたはリパーゼを添加することでウイルス回収率が従来法より格段に改善された。このことから,EVE法は牡蠣中腸腺に蓄積されたウイルスの誘出に非常に有効であることが示された。
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