2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス吸着タンパク質を用いた環境中からの病原ウイルス濃縮・検出・同定技術開発
Project/Area Number |
19106009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 達夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真砂 佳史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50507895)
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
佐野 大輔 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80550368)
渡部 徹 山形大学, 農学部, 准教授 (10302192)
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Keywords | 感染症 / ウイルス / タンパク質 / 酵素 / 検出技術 |
Research Abstract |
ノロウイルス吸着タンパク質遺伝子を活性汚泥細菌ゲノムDNAライブラリから取得し,その遺伝子産物のクローニングを行うことに成功した.得られた遺伝子産物は細菌のシャペロンタンパク質遺伝子に由来するものであり,様々な種類のタンパク質分子を捕捉する可能性を有するものであった.そこで,遺伝産物の腸管系ウイルス吸着能を評価するために,ノロウイルス粒子のみならず,ロタウイルス及びポリオウイルス粒子を用いた吸着実験を行った.その結果,遺伝子産物はノロウイルスGI.7,GII.3,GII.4,GII.6に加え,ロタウイルスA群及びポリオウイルス1型ワクチン株に対しても吸着性を示したことから,腸管系ウイルス吸着タンパク質としての利用が可能であることが確認された. 底泥試料に含まれる胃腸炎ウイルスのRNAを抽出し,磁気ビーズを使用して精製する新規なウイルスRNA回収手法を開発した。この手法により,高城川流域で採取した河口の底泥からエンテロウイルス遺伝子が湿潤重量1gあたり240~860コピーの濃度で検出された。また,定量下限値以下ではあるが,これまでに底泥からの検出例がないノロウイルス遺伝子を湾の底泥から検出することに成功した。さらに,流入下水およびカキ中腸腺からの胃腸炎ウイルス濃縮の反応条件を検討し,反応液のpHが回収率に大きく影響することを明らかにした。 ポリオウイルスおよびアデノウイルスを対象としEMA-PCRを用いてウイルスの遺伝子を定量した結果,300mJ/cm2以上の中圧紫外線の不活化においてウイルス外套の損傷が見られた。様々な光学フィルタを合わせ,異なる波長を持つ光によりウイルスの損傷を調べ,230-240nmの光がカプシドの損傷に効果があることを突き止めた。
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