Research Abstract |
[宮殿建築のCGによる復原] 新規購入したトータルステーションによる高精度ノンプリズム測量により,残存する宮殿建築を対象とした立面情報の収集を行った.これに写真測量学を援用しながら梁行断面の設計基準線の特定および設計方法の復原(各部材間の比例によって寸法決定することの可能性)に資する実測調査を行い,既に得られた伝統住宅の設計技術の知見を合わせて,寸法分析を行った.また,焼失建物の姿を映す写真収集を進め,写真分析を行った.また収集写真と現存する建造物の比較により,細部意匠の研究を進め,3次元CGによる復原案に資する成果を得た. [文化的背景の復原] 中国から受けた影響と,仏領期という極端に違う文化的背景の挟間にあり,不均一なバランスで成立する院朝期の建築・都市の評価づけた.儀礼や祭祀を重んじる院朝において,継続して欽定『大南會典事例』「禮部」(院朝内閣である六部の一つ,禮部の記録)の読解を進め,宗教的・政治的背景の一端を明らかにした.仏領期の建物の造営に関する情報を収集・整理して,これら2項目の影響について総合的に考察した. また,ユネスコ無形文化遺産「ベトナムの雅楽」について,lbit8チャンネルレコーダによる,あるがまま記録を行い,無形文化遺産について,その環境保全・保護振興について,現地組織と協議を進めた. [GIS構築] 蓄積された復原考察に資する情報の一元的な管理のために,図面・文章・写真と多岐にわたる形式の情報のファイル形式の整理と一元化するファイリング用ソフトウェアを導入した.さらに,現地における実測データ等の1次情報の収集からクライアント/サーヴァ環境による入力・応答の即時共有共同の作業形態を,2拠点間に構築しつつ,学術情報の保存・管理に資するICT基盤を構築した.
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