2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19106013
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
連川 貞弘 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40227484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粉川 博之 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10133050)
西田 稔 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (90183540)
井 誠一郎 物質・材料研究機構, ハイブリッド材料センター, 主任研究員 (60435146)
森園 靖浩 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70274694)
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Keywords | 磁場 / 粒界 / 磁気モーメント / 粒界偏析 / 時効硬化 / 時効析出 / チタン / ω相 |
Research Abstract |
本研究は,『材料磁気科学』の基礎を確立し学問体系を構築するとともに,"磁場効果・磁場機能"を実用材料技術へ応用展開するための先導的研究を行うことを目的としている.当該年度の研究成果は下記の通りである. 1.EELSを用いた粒界磁気モーメントの測定:純鉄,純ニッケルおよびFe-Sn合金についてTEM/EELS法を用いて粒界の磁気モーメントを測定した.いずれの試料についても,粒界磁気モーメントは相対方位差に依存して異なることが見出された.純鉄においては,ランダム粒界,Σ3粒界のいずれにおいても粒界磁気モーメントが粒内よりも高くなるのに対し,純ニッケルの(111)Σ3対応粒界においては磁気モーメントの変化はほとんどないことを明らかにした. 2.伸線加工された高炭素鋼の時効硬化の抑制:伸線加工された高炭素鋼の時効現象に対する磁場作用の効果について検討した.磁場の印加により伸線加工後の時効硬化が抑制されることを見出した.磁場作用によりセメンタイトの分解が抑制され,炭素原子による転位の固着力が低下したことが原因であると考えられる. 3.β-Ti及びZr合金における時効オメガ(ω)相の生成に及ぼす磁場中熱処理の影響:Ti-Fe合金における時効ω相の生成において磁場印加によるオメガ相の密度の増加とそれに伴う有意な硬度上昇(Hv=50以上)が認められた.ω相の高密度分散は時効の継続によってβ-Ti合金の強化相であるα相の高密度分散に繋がると考えられる.また,電子回折及び3次元観察の結果,若干ではあるがβ-Ti及びZr合金ともに特定のω相バリアントの優先生成が認められた.これらのことは磁場によりβ-Ti及びZr合金においてもFe合金と同様に磁場による組織制御が可能であることを示唆している. 4.磁場作用によるFe-P合金の粒界偏析脆化の抑制:粒界偏析脆化が起こることが知られているFe-P合金を磁場中焼鈍した結果,77KにおけるJ積分値が純鉄よりも高く,さらに印加磁場強度が高くなるとともに,J積分値も大きくなることを見出した.
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Research Products
(32 results)