2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳時計ニューロンにおける光シグナリングと概日リズム制御の分子解析
Project/Area Number |
19107002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
|
Keywords | 脳・神経 / 視覚網膜 / 視覚網膜 / シグナル伝達 / サーカディアンリズム / 松果体 / 位相シフト制御 / TGF-β |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、以下の成果を得た。 1)2種類の光受容体ニューロンの特異性を規定する遺伝子ネットワーク:松果体細胞の特異性を規定する遺伝子ネットワークを明らかにするため、前年度に単離した松果体特異的な転写因子の性状解析を行った。その結果、この因子の特異的な結合DNA配列を同定し、この結合により松果体特異的な遺伝子発現が活性化されることを見出した。一方、松果体にGFPを異所発現する組換えゼブラフィッシュを用いて変異体スクリーニングを行い、松果体の発現誘導に異常を示す変異体を複数系統得ることに成功した。 2)時計の位相制御メカニズム:時計の位相制御メカニズムの包括的理解に向け、末梢時計の非光位相シフトの制御機構を解析した。末梢時計モデルとして培養細胞を用いた解析において、培地のpH変化により時計の位相が大きくシフトすることを前年に見出したが、本年度、培地の微弱なアルカリ化によって細胞増殖因子TGFβが活性化されることを見出した。活性化されたTGFβはALK5-SMAD3/4経路を介して時計遺伝子Dec1の転写を一過的に活性化し、培養細胞時計の位相を強烈にリセットすることを明らかにした。さらにDec1欠損マウスの末梢組織の遺伝子発現解析から、この新規の位相制御シグナリングが生体で機能していることを明らかにした。 3)桿体と錐体の応答特性を規定する因子:網膜の2種類の視細胞(桿体と錐体)の応答特性の違いを規定する因子の有力候補として、両者に発現する受容体キナーゼの活性の顕著な違いに着目して研究を進めている。この仮説を検証するため本年度は、桿体特異的プロモータに錐体キナーゼ遺伝子を結合したDNAコンストラクトを作製し、ゼブラフィッシュに導入した。その結果、錐体キナーゼを桿体に異所発現する組換え系統を複数樹立することに成功した。
|
Research Products
(22 results)