2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳時計ニューロンにおける光シグナリングと概日リズム制御の分子解析
Project/Area Number |
19107002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Keywords | 脳・神経 / 視覚 / 網膜 / シグナル伝達 / サーカディアンリズム / 松果体 / 位相シフト / 視細胞 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、以下の成果を得た。 1)2種類の光受容ニューロンの特異性を規定する遺伝子ネットワーク:松果体細胞の特異性を規定する遺伝子ネットワークを明らかにするため、これまでに単離した松果体特異的な転写因子の機能阻害実験を個体レベルで行った。その結果、エクソロドプシン遺伝子プロモータによる松果体特異的なGFP発現が、この機能阻害により抑制された。このことから、この転写因子が松果体特異的な発現調節に必須であることが明らかになった。2)時計の位相制御メカニズム:時計の位相制御メカニズムの包括的理解に向け、末梢時計において「非光」位相制御を担う転写因子の候補であるTIEG1の分子解析を行った。まずTIEG1の発現プロファイルを解析したところ、TIEG1タンパク質は末梢組織において日内変動を示すとともに、培養細胞ではグルコース刺激によって発現量の急激な上昇が観察された。また、TIEG1が時計遺伝子Bmal1のプロモータに結合して、転写を抑制する能力をもつことがわかった。そこでTIEG1の機能阻害実験を行ったところ、培養細胞におけるBmal1の転写リズムの周期に影響をおよぼすことがわかった。以上より、TIEG1は末梢時計の制御に重要な役割をもつことが示唆された。3)桿体と錐体の応答特性を規定する因子:網膜の2種類の視細胞(桿体と錐体)の応答特性の違いを規定する因子の有力候補として、両者に発現する受容体キナーゼの活性の顕著な違いに着目して研究を進めている。本年度は、錐体キナーゼを桿体に異所発現する組換えゼブラフィッシュ系統(昨年度に樹立)の生理機能解析を行った。この変異個体の網膜試料における光依存的キナーゼ活性を調べたところ、野生型よりも活性が亢進していることを確認した。そこで、変異個体の桿体における光応答特性を単一細胞レベルで測定したところ、野生型の桿体に比べて感度が低下していることがわかった。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
鳥居雅樹
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Journal Title
『動物の多様な生き方』第1巻「見える光、見えない光」第2章 3.時を刻む体内時計(共立出版)
Pages: 154-173
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[Journal Article]2009
Author(s)
深田吉孝
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Journal Title
生体の科学、Vol.59、No.6、特集『mTORをめぐるシグナルタンパク』LKB1と神経細胞移動(医学書院)
Pages: 511-515
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[Journal Article]2009
Author(s)
小島大輔
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Journal Title
『動物の多様な生き方』第1巻「見える光、見えない光」第3章 1.光による体色のコントロール(共立出版)
Pages: 209-221
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