2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳時計ニューロンにおける光シグナリングと概日リズム制御の分子解析
Project/Area Number |
19107002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Keywords | 脳・神経 / 視覚 / 光 / シグナル伝達 / サーカディアンリズム / 松果体 / 網膜 / 視細胞 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、以下の成果を得た。 1)2種類の光受容ニューロンの特異性を規定する遺伝子ネットワーク:これまでに単離した転写因子は、松果体特異的な遺伝子発現に必須であることがわかっている。個体レベルでの機能阻害実験により、この転写因子は、松果体の発生に関与する転写因子群と相互作用して、松果体ニューロンの分化にも重要な役割を果たすことが明らかになった。2)時計の位相制御メカニズム:光感受性の時計細胞であるニワトリ松果体細胞の光シグナリング経路にはGq型Gタンパク質が関与する。in vitro再構成系の実験を行ったところ、これまでニワトリ松果体において同定した光受容分子Opn4がGqを活性化することが明らかになった。一方、ニワトリ松果体のマイクロアレイ解析で同定した遺伝子群の解析から、光による概日時計の時刻合わせにSREBPという転写因子が関与することを解明した。さらに、SREBPの光活性化により松果体における7αヒドロキシプレグネノロンの合成と分泌が促進され、これが行動量を上昇させることを見出した。松果体は、暗期に睡眠促進ホルモンであるメラトニンを分泌すると同時に、光刺激に伴う行動量の上昇にも重要な役割を果たすと考えられた。3)桿体と錐体の応答特性を規定する因子:網膜の2種類の視細胞(桿体と錐体)の応答特性の違いを規定する因子の有力候補として、両者に発現する受容体キナーゼの活性の顕著な違いに着目して研究を進めた。本年度は、錐体キナーゼを桿体に異所発現する組換えゼブラフィッシュ系統の個体レベルでの視機能解析を行った。桿体依存性の視覚行動を測定したところ、この変異個体は野生型よりも有意に視覚感度が低下していることがわかった。受容体キナーゼの違いは細胞レベルでの感度調節に関与し、これが個体レベルでの視感度にも反映すると考えられた。
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Research Products
(32 results)