2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19107004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 春雄 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (60114485)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / ストレス応答 / MAPキナーゼ / 浸透圧センサー / 酵母 |
Research Abstract |
浸透圧変化に対する適切な細胞応答は、生物の生存に不可欠なものであるが、その分子機構には不明な点が多い。そこで、酵母のHigh Osmolarity Glycerol(HOG)経路をモデル系として、高浸透圧適応に係わるシグナル伝達機構の解明を目指す。本年度は、以下の成果を挙げた。 1)HOG経路の活性化の条件の一つは、Ste11 MAPKKKとアダプタータンパク質Ste50との複合体が構成的膜タンパク質Opy2と結合し、膜に局在化することである。Opy2の細胞質領域には3つのSte50結合部位(A、B、およびDサイト)があり、そのいずれかにSte50が結合すればSte11を膜局在化することができる。Bは、培地中のグルコース濃度が高いとYck1/Yck2キナーゼによってリン酸化されて初めてSte50と結合する。低グルコース環境ではB領域はリン酸化されず、したがってSte50の結合も見られない。BサイトにSte50が結合した場合は主にHOG経路が活性化されるが、AサイトにSte50が結合した場合はSte11-Ste7-Kss1キナーゼカスケードを核とする擬菌糸形成経路が活性化する。このことは、HOG経路および擬菌糸形成経路のシグナル伝達が、環境グルコース濃度による制御をも受けることを示すものである。 2)Opy2の細胞質外領域には進化的によく保存されたCys-rich領域(CRD)がある。保存された8個のCysをAlaに置換した変異では、シグナル伝達能がほとんど失われていた。Opy2のCRDとSho1、Hkr1/Msb2とが浸透圧刺激によって相互作用し、Ste20-Ste11およびSte11-Pbs2の相互作用を引き起こすと予想される。今後、Opy2とSho1、Hkr1、Msb2などとの結合を定量的に計測することで、HOG経路の浸透圧による活性化機構を解明する計画である。
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Research Products
(5 results)