2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルタナリア病原菌の植物寄生性を決定するCD染色体の比較ゲノミクス
Project/Area Number |
19108001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柘植 尚志 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30192644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (00183343)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 植物寄生性 / 宿主特異的毒素 / CD染色体 / 比較ゲノミクス |
Research Abstract |
Alternaria alternataには、病原性決定因子として宿主特異的毒素を生産する7つの病原型が存在する。先に、5つの病原型から毒素生合成遺伝子クラスターを単離するとともに、それらが2.0Mb以下のconditionally dispensable(CD)染色体に分布することを見出した。本研究では、3つの病原型(イチゴ黒斑病菌、リンゴ斑点落葉病菌、トマトアルターナリア茎枯病菌)について、CD染色体の構造と機能を比較解析し、A. alternata病原菌の寄生性を決定するCD染色体の構造、機能、起源の解明を目指す。なお、イチゴ菌のCD染色体(1.05Mb)の解析は昨年度までにほぼ終了している。 昨年度、リンゴ菌の1.4Mb染色体とトマト菌の1.0Mb染色体の解析によって、どちらも大規模な繰り返し配列を持つ複雑な構造であることを見出した。そこで今年度は、先に同定したコンティグのプライマーウォーキングによる連結、未決定領域に対応するBACクローンの選抜と塩基配列決定を行い、染色体構造の概要を把握するとともに、次年度解析対象とすべきBACクローンを選抜した。また、リンゴ菌の1.4Mb染色体とイチゴ菌の1.05Mb染色体から保存された領域を見出し、両菌のCD染色体が構造的に類似していることを示唆する結果を得た。 イチゴ菌(AF毒素生産菌)とトマト菌(AAL毒素生産菌)のプロトプラスト融合によって、AF毒素とAAL毒素の両方を生産し、イチゴとトマトの両植物に病原性を示す菌株を作出した。さらに、それらの染色体構成を親株と比較し、ダブル毒素生産株ではイチゴ菌とトマト菌のCD染色体をあわせ持つことを確認した。 3つの病原型の毒素生合成遺伝子領域を推定するとともに、遺伝子破壊法、遺伝子サイレンシング法を用いて、新たな毒素生合成遺伝子を同定した。
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