2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルタナリア病原菌の植物寄生性を決定するCD染色体の比較ゲノミクス
Project/Area Number |
19108001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柘植 尚志 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30192644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (00183343)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 植物寄生性 / 宿主特異的毒素 / CD染色体 / 比較ゲノミクス |
Research Abstract |
Alternaria alternataには、病原性決定因子として宿主特異的毒素を生産する7つの病原型が存在する。先に、これら病原型の毒素生合成遺伝子クラスターが、生存には必要でないconditionally dispensable(CD)染色体に分布することを見出した。本研究では、3つの病原型(イチゴ黒斑病菌、リンゴ斑点落葉病菌、トマトアルターナリア茎枯病菌)について、CD染色体の構造と機能を比較解析し、A.alternata病原菌の寄生性を決定するCD染色体の起源の解明を目指す。なお、イチゴ菌の1.05Mb染色体の構造解析はすでに終了している。 昨年度までに、リンゴ菌の1.4Mb染色体とトマト菌の1.0Mb染色体の構造を解析し、どちらも大規模な繰り返し配列を持つ複雑な構造であることを明らかにした。今年度は、先に同定したコンティグのプライマーウォーキングによる連結、未決定領域に対応するBACクローンの選抜と塩基配列決定を行い、各染色体のほぼ全長をカバーする150kb以上のコンティグを同定し、リンゴ菌の1.4Mb染色体には複数の反復領域が存在すること、トマト菌の1.0Mb染色体はセントロメアを挟んでほぼ左右対称構造であることを見出した。さらに、3病原菌のCD染色体の構造を比較し、イチゴ菌とリンゴ菌のCD染色体の毒素生合成遺伝子をコードしない片腕の構造が全長にわたり類似していること、この領域の一部(約220kb)がトマト菌の1.0Mb染色体にも保存されていることを見出した。この結果は、3病原菌のCD染色体が同一起源であることを示唆した。 3病原菌のCD染色体にコードされる全遺伝子を推定するとともに、イチゴ菌、リンゴ菌、トマト菌からそれぞれ25個、17個、13個の毒素生合成遺伝子を推定し、遺伝子破壊法またはサイレンシング法を用いて、それらの毒素生合成における機能解析を進めた。
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