2009 Fiscal Year Annual Research Report
学習・記憶の情報表現研究とその工学的モデルへの応用
Project/Area Number |
19200014
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
塚田 稔 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (80074392)
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Keywords | 時空間学習則 / ヘブ学習則 / 記憶の情報表現 / 計算論モデル / 海馬培養錐体細胞 / 変数選択問題 / 非侵襲脳計測 / カントールコーディング |
Research Abstract |
(1) ラット海馬ではボトムアップの時空間学習則(nonHEBB)とトップダウンのHEBB則(スパイク・タイミング依存性長期増強)の相互作用によってシナプス加重が強化され,強化学習にも密接に関係することを生理実験とモデル・理論によって検証した. (2) 不安定な回路網(カオス駆動ネットワーク,CA3)がカオス的遍歴によって一つの文脈を形成し、安定な回路網(縮小ダイナミクス、CA1)はカントールコーディングとしてその情報を符号化するカオス駆動縮小システムの計算論モデル仮説を実験で検証した.この結果.海馬CA1シナプス後電位において時空間時系列のカントールコーディングの可能性が示された. (3) 海馬記憶システムにおいて行動課題中のラットから過去の経験に基づいて未来の行動決定する時の海馬ニューロンの情報表現を明らかにすることができた. (4) ヒト脳において,過去の経験をもとに未来の行動を決定・遂行する課題を開発し,機能的MRIによって脳活動を測定し,ヒト脳でも海馬を含む内側ネットワークが行動決定や遂行予測にも特異的に関与することが明らかとなった. (5) 動物モデルに基づく学習・記憶の情報表現の工学的モデルへの応用に関しロボットの知的制御を実施した.対人コミュニケーションにおいて相手の意図を過去の行動から推測して行動決定する機能を実現した.この結果,平成21年5月に大阪で開催されたロボカップジャパンオープン2009@ホームリーグにおいて,2連覇をはたすとともに,ロボカップ世界大会において,平成21年度グラーツ(オーストリア)大会では準優勝の成果を挙げた.
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Research Products
(29 results)