2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能的結合に基づく神経情報ダイナミクス・デコーディング
Project/Area Number |
19200018
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
工藤 卓 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (10344110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 勲 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)
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Keywords | 複雑系 / T-ノルム / 神経知能工学 / BMI / 神経情報コード |
Research Abstract |
神経情報を抽出する素材として分散培養神経回路網を用い、これに外界との入出力系を付加して神経情報デコーディングの検証プラットホームを構築し、これを基盤として研究を行っている。 本年度は、神経回路網の電気活動ダイナミクスを、時間的な履歴性を中心にさらに詳細に解析するとともに、ダイナミクス・デコーディングを行うプログラムを発展・完成させた。具体的には、時間ごとにクラスタリング手法を適用することで、神経活動パターンの定常性を推定し、刺激による活動パターンの変化を捉えるデコーディング・プログラムを完成した。 さらに、識別パターンを現実の事象と結びつけるための分散培養系-外界・相互作用システムとして、Hebb則学習と自律分散アーキテクチュアを応用したニューロ・ロボットを構築し、デコーディング手法の実証実験を行った。実際に神経活動パターンとロボットに埋め込んだ行動規則を自律的に結合して、神経細胞の電気活動パターンによって衝突回避行動を発現することに成功した。 また、神経細胞間の機能的結合パターンの規則性や論理性をT-ノルム,T-コノルム演算子を用いて抽出し、その時間変化を特長量として神経回路網の自発性電気活動に伴う神経結合パターン論理性の推定を行った。この結果、3電極間の関係性が2入力1出力の激烈積を示していたものが活動電位発生後の短時間の内に論理和に変化し、直線結合状態となったことを示すデータが得られるなど、神経細胞間の論理的結合性の変化を捉えることに成功した。 これらの成果を英文論文誌3報、和文誌1報、図書の1章に報告した。 本研究により、1.神経回路網活動パターンの動的変化を捉える手法を動的クラスタリングとファジィ演算子を応用して開発し、2.神経回路網のもつ回路性の履歴性を発見した。また、3.BMIテスト用システムを用いた実証実験用のプラットホームとして、神経回路網が環境と相互作用する仲介物としてロボットを用いた系を完成した。さらに、4.ファジィ演算子を応用した神経結合パターン論理性の推定を行う新規手法を確立し、その有効性を確認した。
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