2010 Fiscal Year Annual Research Report
脱ユビキチン化酵素による神経細胞機能発現の統合的制御
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19200032
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
和田 圭司 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第四部, 部長 (70250222)
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Keywords | ユビキチン / 神経細胞 / 脱ユビキチン化酵素 / 酸化ストレス / 代謝 / ビタミンE / オートファジー / マウス |
Research Abstract |
脱ユビキチン化酵素UCH-L1は脳神経系では神経細胞特異的発現を示し、パーキンソン病、アルツハイマー病など神経変性疾患との関わりが深い。また、酵素としての役割に加え、ユビキチン結合蛋白質としてユビキチンの安定化に関わるなどその多機能性と生命現象との関連性が注目を浴びている。昨年度までに孤発性、家族性パーキンソン病の共通機序としてUCH-L1の凝集性亢進、蛋白質相互作用の変動が存在する可能性を示してきた。具体的な機序として酸化あるいは遺伝子変異によるアミノ酸置換の結果、UCH-L1の構造変化が生じ、その結果chaperon mediatedオートファジー(CMA)の構成成分であるLAMP2等との結合性が亢進し、CMAを阻害し本来CMAで分解されるべきアルファシヌクレインの蓄積を引き起こす可能性を提唱した。同様な機序はUCH-L1が量的に少なくなった場合においても作用することをUCH-L1の発現のないgracile axonalo dystrophy (gad)マウスを用いて併せて示した。今年度は新たに、個体レベルにおいてもビタミンE欠乏による酸化ストレス亢進時にgadマウスの症状が増悪することを見いだした。具体的に、ビタミンEに関して通常食と欠乏食を投与し、rotor rod試験を行った。また、生化学的にUCH-L1と結合する生体膜成分を解析し、その結果分子機序としてUCH-L1とphosphatidic acid等との結合性が考えられる可能性を見いだした。以上の成果はUCH-L1が生命機能発現や病態の形成に深く関わっていることを示唆する。
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Research Products
(3 results)