2007 Fiscal Year Annual Research Report
精密な薬物送達のための標的集積・温度応答・可視化多重機能性ナノベシクルの創製
Project/Area Number |
19200040
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (90215187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 千恵 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (50405346)
青島 貞人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50183728)
石坂 幸人 国立国際医療センター研究所, 部長 (30281687)
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Keywords | ナノ医療 / ナノカプセル / ドラッグデリバリー / 可視化 / MRI / がん治療 / 診断 |
Research Abstract |
本研究は、鋭敏な温度応答機能、標的(腫瘍)集積機能、および体内におけるキャリアの集積位置をモニターするための可視化機能、の3つの機能を集積化することによって、高精度で薬物を標的に送達するための先進ナノキャリアシステムを構築することを目的とする。本年は体温よりも少し高温で親水性から疎水性に変化する新規感温性高分子として、ポリオキシエチレン鎖を有するポリビニルエーテルブロック共重合体を合成した。この共重合体は40℃付近に転移温度をもつことが熱分析によってわかった。このポリマーを結合したリポソームからのアドリアマイシンの放出は37℃以下では抑えられているが、それ以上の温度において放出を促進した。脂質組成の最適化を行うことによって、温度応答性の鋭敏化が期待される。一方、リポソーム膜上への金ナノ粒子の複合化について検討した。リポソームの存在下、塩化金酸イオンの還元を行うと、リポソームとほぼ同等の大きさの金粒子が生成した。この金粒子は、近赤外領域に吸収を示し、また、近赤外光の照射によって発熱することがわかった。さらに、界面活性剤を加えるとこの金粒子の吸収波長が著しく低下した。これらの結果から、得られた金ナノ粒子は、リポソーム膜上に金皮膜が析出することによって生成したものと考えられた。この金ナノ皮膜を有するリポソームは、その内部に薬物を封入できることが予想されることから、近赤外光照射による発熱と抗がん剤放出、さらに、分光法、超音波法、およびX線CTによって検出が可能であることから体内でのモニター化も可能である。リポソームのMRIによるモニター化のための素子として、多数のガドリニウムイオンを担持できるデンドロン脂質の合成も行った。
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