2009 Fiscal Year Annual Research Report
精密な薬物送達のための標的集積・温度応答・可視化多重機能性ナノベシクルの創製
Project/Area Number |
19200040
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (90215187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 千恵 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 特別講師 (50405346)
青島 貞人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50183728)
石坂 幸人 国立国際医療センター研究所, 部長 (30281687)
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Keywords | ナノ医療 / ナノカプセル / ドラッグデリバリー / 可視化 / MRI / がん治療 / 診断 |
Research Abstract |
可視化機能を有するベシクルとして、金ナノ被膜を有する脂質膜ベシクルの構築を行った。ベシクル存在下における金イオンの還元pHを調節することで、近赤外光で励起されて発熱する金薄膜の形成に成功した。金ナノ被膜を有する脂質ベシクルを取り込んだ細胞は近赤外照射により強く殺傷された。また、このベシクルは内包物を近赤外光照射によって放出した。しかも金ナノ被膜を有するベシクルは、X線CT等によって体内挙動が検出可能なことから、可視化によって体内挙動を追跡できる、近赤外光を用いるフォトサーマルセラピーのためのナノデバイスとしての利用が期待できる。一方、体内挙動可視化のための素子としてガドリニウムデンドロン脂質を開発し、これを組み込んだ脂質膜ベシクルを作製してその腫瘍集積過程について検討した。MRIを用いてこのベシクルの体内挙動の同時モニターを行い、腫瘍への集積はベシクル径に依存するが、8時間程度で最大集積量になること、また、サイズの大きな腫瘍により効率よく集積することが明らかになった。温度応答性ベシクルにこのデンドロン脂質を組み込むことで、体内可視化によってガイドされた腫瘍への抗癌剤デリバリーを行った。また、このベシクルの腫瘍集積後温和な加温によって腫瘍成長を強く抑制されることがわかった。このような可視化と温度応答性をもつ多重機能型ナノベシクルを用いることで、患者個人の病巣に的確に対応できるパーソナル癌化学治療が可能になるものと考えられる。
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