Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
三田村 緒佐武 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50030458)
千賀 有希子 立正大学, 地域環境科学部, 助教 (30434210)
山室 真澄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究所, 教授 (80344208)
矢島 啓 鳥取大学, 工学部, 准教授 (10283970)
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Research Abstract |
汽水湖中海では,浚渫窪地(水深13〜15m)が点在しており,その窪地内には有機質に富んだ汚濁物質が集積しかつその停滞性のため,深水層(5〜15m)では,冬期を除く長期間に渡り酸欠状態を呈している。そのため湖底付近では,硫化水素やメタン(温室効果ガス)の発生が著しく,時折青潮も発生するなど劣悪な状態を呈している。本研究の目的は,このような浚渫窪地内の水質及び底質の改善策を構築することにある。 本年度(研究初年度)は,硫化水素が発生する最も劣悪な時期(8〜9月)に高酸素水を導入し,その拡散状況及び貧酸素水塊の解消状況を追跡することからはじめた。用いた高酸素水導入装置(松江土建(株)と(独)土木研究所の共同開発)は,高酸素水を水平方向に放射状に吐出し,かつ気泡を生じないよう設計されているため,鉛直混合を起こさない特徴を有する。したがって,溶存酸素濃度の状況を観ながら,本装置の設置深度を13.8m(湖底直上)から5.8m(塩分躍層直下)まで,順次引き上げ酸素を導入していった(2007年8月5日〜10月1日)。実験区(高酸素水導入水域)には,自然地形の水深7mから先ず約10mまで掘削され,さらにその中央部(水域面積:約650m^2)が約15mまで掘り下げられている水域を選定し,その中心に本装置を設置した。 対照区(高酸素水導入の影響が及ばない水域)では,本装置の稼動期間中を通し無酸素状態のままで推移したのに対し,実験区では,装置稼動12日後には15mまで深堀された水域全て(約650m^2)において,10mgO_2/L以上の溶存酸素濃度の増加を確認した。それに伴う,硫化水素及びメタンの消失,酸化還元電位の上昇,及び溶存マンガン(Mn^<2+>)の懸濁化(MnO_2)等の変化(酸化反応)も確認した。しかしながら,本装置を引き上げるにつれて,再び湖底付近から貧酸素化が進行し,予想以上に酸素消費速度の速いことを知った。新たな改善策を要する。今後の検討課題としたい。
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