2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒時間分解紫外磁気円二色性光電子顕微鏡の開発
Project/Area Number |
19201023
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
横山 利彦 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 教授 (20200917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 剛志 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (80353431)
高木 康多 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (30442982)
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Keywords | 磁気記録 / 表面・界面物性 / 量子ドット / 磁気円二色性 / 光電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、我々が独自に開発した波長可変紫外磁気円二色性光電子顕微鏡法をさらに発展させ、ポンプープローブ法に基づくフェムト秒時間分解測定を可能にすることを目的としている。実現すれば、現在の放射光X線磁気円二色性光電子顕微鏡法と比べて、実験室で観測できる上に、時間分解能が3桁以上上回るという特徴を有する。20年度に15原子層Ni/cu(001)系でリアルタイムでの磁気円二色性光電子顕微鏡観測と200fsの時間分解能でポンププローブ法による光電子顕微鏡観測成功しており、本研究の第1目標は既に達成されている。また、申請時は一光子過程での観測を想定していたが、やはり昨年度にNi/Cu(001)系において二光子磁気円二色性光電子顕微鏡法に成功し、さら利用エネルギー域が広がり、より一般的手法となった。特に二光電子過程の光電子磁気円二色性は全く研究例のない現象でもあり、極めて重要なし成果が挙がった。 21年度は最終年度であり、より基礎的事項の解明を目指し、Ni/Cu(001)系での紫外光電子磁気円二色性が1光子2光子に限らず仕事関数しきい値近傍で増強される現象をより深く理解するため、レーザー角度分解光電子分光法により検討を行った。仕事関数しきい値近傍では自発的に垂直出射となること、しきい値近傍の垂直出射でスピン軌道分裂したバンドの一方のみが効率よく検出できることが原因であることを明らかにした。 また、垂直磁化Co/Pt(111)の1光子2光子光電子磁気円二色性および角度分解磁気円二色性光電子分光測定を行い、仕事関数しきい値近傍において、1光子2光子でそれぞれ2%,-13%の磁気円二色性を得た。この系でも1光子2光子とも通常の紫外磁気円二色性と比べて桁違いに高感度であることが証明でき、2光子の優位性も示す結果であった。
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Research Products
(22 results)