Research Abstract |
シリコンをTetra Methyl Ammonium Hydroxide(TMAH)水溶液でエッチングするさいに,微量の界面活性剤がエッチング特性,特に,エッチングの異方性を変えてしまう現象について研究した.昨年度は,界面活性剤(Triton X100)がエッチング中にシリコンの特定の結晶方位に吸着することを,in-situ FTIR計測ではじめて明らかにしたが,今年度はさらに,界面活性剤の吸着量をエリプソメトリ法で定量的に計測し,各方位での吸着量を比較して検証を進めた.さらに,吸着した分子がその後のエッチングを妨げるという事実を実験的に確認した.以上の結果を総合し,界面活性剤添加によりエッチング異方性が変化するメカニズムは,界面活性剤が特定の結晶方位に多く吸着する結果,エッチング速度を選択的に低下させるという結論を得た.ただし,界面活性剤が特定の結晶方位に選択的に吸着するメカニズムの解明は今後の課題である. 一方,エッチング液中に含まれるK+,TMA+,Cu++などの陽イオンがエッチング特性に及ぼす効果は相互比較ができたものの,いまだに統一的解釈を確立するに至っていない. 上記の界面活性剤添加による異方性変化がMEMSデバイスの3次元構造形成に応用できることを実験的に検証することができたので,MEMSデバイスの3次元構造製作プロセスを特許出願した. 以上の研究成果は,国内外会議論文8件,学術雑誌論文11件,図書3件,として公表済み,あるいは発表決定している.
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