2008 Fiscal Year Annual Research Report
天然神経毒をモチーフとした新規グルタミン酸リガンドの開発
Project/Area Number |
19201045
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大船 泰史 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (20142078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30271513)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / アンタゴニスト / カイトセファリン / 効率的全合成 / 結合活性試験 / トランスエステル化試薬 / Horner-Emmons試薬 / カイニン酸 |
Research Abstract |
本研究では、天然神経毒アミノ酸類をリードとした脳・神経機能研究のためのツール分子や神経細胞死を抑える脳保護薬創製のための新規グルタミン酸リガンドの開発を目指している。平成20年度は、天然物として初めて単離されたグルタミン酸受容体アンタゴニスト、カイトセファリンの第2世代合成として、その効率的全合成を達成した。本合成は天然物がもつ三つのカルボキシ基の酸化段階を保持したまま、Ala,Pro,Serの3成分をジアステレオ選択的に結合させて標的化合物に導くことを基本戦略としている。その結果、12段階、通算収率6.9%という合成プロセスを確立することができ、カイトセファリンの量的供給に目途がたった。さらに、本合成法を用いてエナンチオマー体を含め数種のカイトセファリン誘導体への変換にも成功した。合成化合物のラット脳神経細胞を用いたグルタミン酸受容体との結合活性試験は、財・サントリー生物有機科学研究所・島本啓子博士と共同で行い、受容体結合に関するサブタイプ選択性について有用な知見が得られた。本合成の途上、新規なトランスエステル化試薬及びトランス選択的デヒドロアミノ酸合成のためのHorner-Emmons試薬を開発し、これらの試薬の有用性も確かめた。また、強力な神経興毒として知られる、カイニン酸とアクロメリン酸の合成に着手した。鍵段階は両者の共通構造である3置換ピロリジン部位の一挙構築にあり、銅触媒を用いたイソシアノアセテート誘導体と不飽和ケトンとの連続1,4-付加・環化法の方法論開発に取り組んだ。現在、カイニン酸前駆体に導くことができている。本反応における位置及び立体選択性の向上や天然物への変換は平成21年度の課題である。
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