2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然神経毒をモチーフとした新規グルタミン酸リガンドの開発
Project/Area Number |
19201045
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大船 泰史 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20142078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30271513)
|
Keywords | イオンチャネル型グルタミン酸受容体 / アンタゴニスト / カイトセファリン / 3-デオキシカイトセファリン / NMDA受容体 / グリシルフォスホネート型HWE反応剤 / カイニン酸 |
Research Abstract |
天然由来として初めてのイオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluRs)アンタゴニストとして単離されたカイトセファリンは脳・神経疾患の治療薬のリード物質としてその価値と重要性が高い。最終年度に当たり、(1)カイトセファリン活性発現に必要な官能基の特定のための各種類縁体や構造単純化モデルの合成、(2)神経興毒カイニン酸、アクロメリン酸の合成研究、及び(3) グリシルフォスホネート型HWE反応剤を用いたデヒドロアミノ酸合成に取り組んだ。(1)ではカイトセファリンの効率的な全合成経路をもとに2, 3, 7, 9位に関する異性体、芳香族アシルアミド類縁体及び3-デオキシ体の合計15種類を合成し、放射性リガンドを用いたiGluRsとの結合実験を行った。その結果、これらの多くはNMDA受容体に選択的に結合すること、芳香族アシルアミド基が強い結合活性に必須であること、3位水酸基が必ずしも必要ではないという知見を得た。これらの実験事実と、同時に取り組んだピログルタミン酸を中心構造にもつ構造単純化モデル(4種)の活性評価と組み合わせることにより、構造単純化モデルに芳香族アシルアミド基を組み込んだ新たな設計分子のアイデアが生まれ、脳保護薬リードの開発に向け大きく前進できた。(2)では、同族体であるカイニン酸の高効率的全合成を達成し、ピリドン-2-カルボン酸導入したアクロメリン酸の短段階合成経路の検討に至っている。(3)では、カイトセファリン全合成で開発した新規(E)-選択的HWE反応剤を(1)及び(2)の合成研究の鍵として活用出来た。特に(1)の芳香族アシルアミド類縁体である、ジヨード体、ベンゾイル類縁体合成では、対応するHWE反応剤と縮合をすることによって目的が達成できた。
|