2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の局所的な絶滅が景観レベルの種多様性に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
19201048
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
正木 隆 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林植生研究領域, 室長 (60353851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中静 透 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (00281105)
星崎 和彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30322655)
小南 陽亮 静岡大学, 教育学部, 教授 (30221980)
柴田 銃江 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (10343807)
永松 大 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20353790)
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Keywords | 生物多様性保全 / 生態系修復・整備 / 生態学 / マトリクスモデル / 生活史パラメータ / 種子散布 / アカシデ / ミズキ |
Research Abstract |
小川群落保護林で結実のみられたサクラ属の種子散布パターンをマイクロサテライトマーカーを用いて解析した。その結果、これらの樹種の種子は母樹から100〜200m以上はなれた場所に散布される場合がみられた。さらに、残りの6〜7割の種子は母樹調査をした範囲(8ha)のさらに外から移入してきた種子であった。また、小川群落保護林の主要樹種を対象に、レフコヴィッチ行列を作成した。その結果、高木18種のうち、8種については閉じた行列とはならず、固有値や弾力性などの分析はできない樹種であった。現在の個体群サイズを1として200年間の動態を計算した結果、増加トレンドを示したものは5種、ほぼ維持されたのは2種、残りの11種は減少トレンドを示した。減少する11種のうち、2種は個体群サイズがほとんどゼロになってしまった。これらの結果から、現在のかく乱レジームのもとで個体群が維持される種は少ないこと、出発点の母数に関係なく200年以内に絶滅する可能性の高いものがあること、パラメータのランダムなバラツキや出発点の母数の種間差を考えると、林分サイズによっては安定的に個体群が維持されることの難しい樹種が多いこと、などの結論が導かれる。固有地からみた現在の増減トレンドは、行列の弾力性を構成する各要素と相関があり、増加トレンドの種は繁殖と移行に関する弾力性が高い傾向があった。
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