2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Study on domestic implementation of "UN Declaration on the Rights of Indigenous Peoples" in Japan.
Project/Area Number |
19203002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Public law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
TSUNEMOTO Teruki Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (10163859)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 先住民族 / 少数民族 / アイヌ民族 / 国連宣言 / 憲法 / 文化人類学 |
Research Abstract |
本研究は、自らを先住民と認識する人々の福利の実現にとって、先住民族のコンセプトがいかに有効性をもちうるか、そして、先住民としてのアイデンティティを維持しつつ主流社会との互恵的関係をいかに構築しうるかという問題関心に立ちつつ、「先住民族の権利に関する国連宣言(以下、国連宣言という)」の日本における実現可能性を、公法学を中心としつつ、基礎法学及び政治学、並びに文化人類学などの関連諸科学の関与、さらにアイヌ民族の主体的参加を得て、総合的かつ実証的・具体的に検討することを目的とする。研究の遂行にあたっては; 第1に、アイヌ民族は、先住性、被支配性、歴史的連続性、自己認識という先住民族の国際的標識を満たしていながら、主として文化的独自性と社会的・経済的平等性を強調し、民族自決権等の主張よりも主流社会との共生を重視するという点でユニークな存在と見うるのであり、先住民族概念を再検討する重要な契機を提供しているということができる。本研究は、この点に着目し、研究の遂行にあたってアイヌ民族の存在と主張を基盤とする。 第2に、研究の遂行を具体の民族のあり方と正確にリンクさせるために文化人類学者を研究分担者に加え、さらに、日頃から最も密接にアイヌ民族・アイヌ文化と関わっている博物館学芸員の協力も得ることによって、従来の先住民法研究に見られた理念先行の研究に陥ることを避けるとともに、学術的客観性を確保する。 本研究は、このように国連宣言の国内における実現可能性を先住民族とともに総合的・実証的に検討することを通じて、失われた権利の適切な回復の方途を示し、もって正義にかなった「新たな共生秩序空間」を生み出すことに貢献することを目指す。
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Research Products
(9 results)