2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス廃棄物の適正処理およびエネルギー利用による中国の統合的流域管理政策
Project/Area Number |
19203014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
氷鉋 揚四郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (90189762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正秀 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (00350744)
渋澤 博幸 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (70291416)
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Keywords | 環境科学 / 廃棄物処理 / 解析 / 評価 / 水質汚染 / 土壌汚染防止 / 浄化 / 国際協力 |
Research Abstract |
中国浙江省嘉興市を対象とした、水質改善のための動学的環境政策シミュレーションを実施した。嘉興市の産業構造に配慮して、点源系である生活排水、製造業に対する高度下水道処理、浄水設備設置、ストック減少補助金、あるいは面源系である農業、土地利用に対しては土地買収、溶出抑制肥料補助金等の水質浄化政策を環境政策の選択対象としてモデルに組み込んだ。特に、農業の中でおもな排出源である畜産業、なかでも養豚業(CODで全体負荷の30%、T-Nで28%、T-Pで50%)に対しては、電気化学的処理による排水処理を組み込んだ湿式メタン発酵技術の優位性、対費用効果を計測した。プラント1機の処理能力は肥育豚1、000頭で、設置コストを日本の製造で770万元と想定した。2006年を初期値として2007年から2006年水準の水質汚濁物質(COD,T-N,T-P)発生量の15%削減を制約とするシミュレーションの結果、10年間で6,043機設置され、その設置コストは460億元、GRPは当該プラントを設置できない場合と比較して1,079億元増加することを明らかにした。当該プラント設置を想定しないで他のいかなる環境政策を実施しても、この政策目標を実現することは、結果として急激な生産削減を各産業に強いることとなり、実質的に不可能であることも明らかとなり、当該プラントに代表される畜産廃棄物、特に養豚業の廃棄物の適正処理技術の重要性が明らかとなった。 事業モデルについては、中国側研究共同者と検討を行ったが、嘉興市政府の事情等により、テストプラントの設置には至っていない。今後は、他の省政府にも働きかけ、多面的に事業モデルプラントの設置をはかる。 畜産廃棄物は、水質汚濁発生源であるばかりでなく、不適切な処理はメタン、亜酸化窒素等のGHG排出源でもある。この点を考慮し、農業生産におけるバイオマス廃棄物の非化石系燃料としての再生プラントとのハイブリッドも考え、より効率的、効果的な事業モデルの展開を考える予定。
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Research Products
(29 results)