Research Abstract |
本研究プロジェクトは,東アジア地域の国々(日本,韓国,中国,治湾,香港,シンガポール)における学校改革研究の拠点を構築することを目的としている。初年度である平成19年度においては,まず対象となる国々の大学及び学校改革研究者との協同協力関係を形成し,基礎調査と基本文献の収集に作業を集中した。当初北京において「学びの共同体」の学校改革の国際会議を組織する予定であったが先解の都合で延期となり,それに代わって東京大学において北京大学教育学院,東京大学大学院教育学研究科,ソウル国立大学教育学部の三つの拠点大学の間で学術協定を結び「東アジア型の教育改革」を中心テーマとする国際シンポシウムを開催した。北京大学,ソウル国立大学,東京大学の三大学の緊密な研究ネットワークを形成し「東アジア型教育改革の検討」という研究主題を共有したことは,本プロジェクトにとって大きな礎石となった(佐藤,秋田,恒吉,勝野,馬越,北3の全員が研究報告)。 この拠点構築の実績とともに,平成19年度は学校改革研究を,主として授業改革の研究として推進する国際ネットワークの構築を推進した。そのために,秋田と佐藤は6月にシンガポールの国立教育研究所を訪問して同研究所の主催する授業のアクションリサーチの国際シンポジウムにおいて講演し,アジア諸国の教育研究者との連携を図った。シンガポールの国立教育研究所には半年後,恒吉も訪問して学校改革の比較研究の国際シンポジウムで講演し,本プロジェクトの連携を強めている。また,佐藤と秋田は10月に香港で開催された国際授業研究学会に参加し,日本の授業改革の解法である「レッスンスタディ」の方略と原理について報告し,香港,中国,シンガポールをはじめ各国の教育研究者と協議した。また,勝野は本年3月に韓国の学校政策と学校経営について調査し,日韓の教育政策の比較研究の基礎固めを行った。 これらの連携・協力・調査活動と並行して,学校改革の実践と研究の交流も試みた。初年度である平成19年度においては,韓国と日本の「学びの共同体」づくりの学校改革の実践交流を推進し,東京大学教育学部附属中等学校の改革事例とソウル市以友学校の改革事例の交流,及び両校の教師たちの実践交流を実現した。この二つの学校は,それぞれの国において「21世紀型の学校」を標榜する改革の拠点校であり,今後東アジア諸国全体の学校改革の拠点として発展させる見通しである。
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