2010 Fiscal Year Annual Research Report
パブリックセクターの高等教育機関における授業料の国際比較研究
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19203035
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Research Institution | Center for National Univercity Finance and Management |
Principal Investigator |
丸山 文裕 独立行政法人国立大学財務・経営センター, 教授 (60144888)
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Keywords | 国立大学 / 授業料 / アメリカ州立大学 / イギリス大学 / 質の保証 / 機会均等 |
Research Abstract |
本研究は、日本の国立大学の授業料水準について、アメリカやヨーロッパのパブリックセクターの大学のそれと比較検討することである。本年度は研究最終年度であり、研究の総括を行った。 まずアメリカの州立大学の授業料動向について、現地調査などを行い、情報を収集した。カリフォルニア州では、州財政がひっ迫した余波を受け、州立大学の授業料が著しく上昇した。その背後には、州政府交付金の減少によって、質の保証が危うくなり、それを補うため授業料値上げを行ったと考えられる。質の保証が大学で重要と捉えられている。授業料上昇を可能にしたのは、多様で分厚い奨学金制度があると思われる。 イギリスでも大学の授業料は、政府の規制が緩やかになりつつある。2011年大幅な値上げが可能となったが、大学は優秀学生を確保しようと、授業料を値上げしないと政府は予測していた。しかし多くの大学で上限いっぱいまで値上げした。ここにも質の保証が、授業料値上げの背後にある。 日本は法人化後、大学独自で授業料が設定できるが、値上げした大学はほとんどない。2011年12月に国立大学財務担当理事を対象にしたアンケート調査では、今後も国立大学の授業料を値上げする大学はないことが明らかとなった。国立大学の理事は、国立大学の使命は、安価で良質な教育の提供であると表明しており、その考えが値上げをしない理由と考えられる。 アメリカとイギリスは、パブリックセクターの高等教育の質の保証を優先課題とし、日本の国立大学は機会均等を優先課題としていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)