2008 Fiscal Year Annual Research Report
南極天文学を切り開くサブミリ波サーベイ望遠鏡の開発
Project/Area Number |
19204016
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
瀬田 益道 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80358994)
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Keywords | 電波天文学 / 南極 / サブミリ波 |
Research Abstract |
平成19年度から南極での運用を目指して開発を続けている、天の川の掃天観測用の30cmサブミリ波望遠鏡を完成させた。30cm望遠鏡の感度を定める冷却受信機には、超伝導素子を用いているが、その動作に必要な4Kの低温環鏡を、可搬性に優れた小型機械式冷凍機により実現した。実験室において、冷却受信機の感度測定を行い、200K以下という当初目標の高い感度を達成した。筑波大学構内にて、望遠鏡の指向及び追尾特性を夜間の光学ポインティング観測により確認した。30cm鏡は、大きな速度成分を有する銀河系の中心領域を高い速度分解能で観測するために、広帯域(1GHz)のデジタル分光計を搭載したが、南極での実運用や試験観測を行う高地においては、空冷効率の低下が懸念された。そこで、冷媒循環による水冷機構装置を考案し、その動作を確認した。これら一連の試験で良好な結果を得たため、30cm鏡を、高地寒冷の地である、スイスアルプスのユングフラウヨッホに移設して、性能評価試験を行った。ユングフラウヨッホでは、少数の人間により人力で組み立てが可能な事を実証し、30cm鏡が目標とした可搬型望遠鏡として仕上がっていることを確認した。二週間も続いた嵐等の天候不順に阻まれ、観測時間の確保は不十分であった力弐、寒冷(-20℃)な高地(3600m)における望遠鏡の性能試験を行うことができた。心配された低温下での望遠鏡の動作には問題が無いこと、星の追尾観測による望遠鏡の角度分解能9'に対して十分な指向精度の実証、高標高の地においても水冷機構の採用でデジタル分光計の動作に問題が無いことを確認した。これらの成果により、当初目標であった望遠鏡の完成と性能評価試験に成功し、次年度の天体観測の準備を終えた。
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Research Products
(4 results)