2008 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム中原子の超微細構造精密測定から探る不安定原子核構造
Project/Area Number |
19204029
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松尾 由賀利 The Institute of Physical and Chemical Research, 本林重イオン核物理研究室, 先任研究員 (50231593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 武 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 基礎科学特別研究員 (30435680)
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Keywords | レーザー核分光 / 超流動ヘリウム / 超微細構造 / レーザーマイクロ波二重共鳴 / 不安定核原子 |
Research Abstract |
本研究は、既存の手法では測定が困難である低収量な短寿命不安定核原子について、100%近い閉じ込め効率が期待される超流動ヘリウムを高速イオンビームのストッパーとして用い、レーザーとマイクロ波またはラジオ波との二重共鳴分光法によりその超微細構造および磁気副準位間隔を精密に測定して、核の電磁気モーメントやスピンなど原子核構造を表す物理量を高精度で求めることを目的とする。特に、Rb安定核原子を用いた実験で明らかになっている超流動ヘリウム中における超微細構造異常の変化から得られる原子核の構造情報について、存在限界付近の不安定原子核へと中性子数を変化させて測定する。本研究目的遂行のためには、不安定核ビームを入射してレーザー照射径の範囲内にその停止位置を制御することのできる超流動ヘリウムクライオスタットとその制御システムの構築が不可欠である。本年度はRb不安定核ビームを用いた加速器実験へ向けて、イオンビーム打込み用クライオスタットの設計製作を行うとともに、ビーム停止位置制御系の開発実験を行った。液体ヘリウム中でのビーム到達の有無を確認するために、クライオスタット中心部にビームが到達すると発光するプラスチックシンチレータを検出器として配し、クライオスタット底部の大立体角光学系で光検出を行うシステムを構築した。加速された重水素(D)イオンビームを入射したところ、入射エネルギーを減少させると検出器に到達しなくなる様子が観測され、本手法がビーム停止位置制御に有効であることが示された。これらの結果を踏まえて、来年度は加速Rbビームとレーザーを同時にクライオスタットへ入射し、レーザーマイクロ波二重共鳴実験を行い、超微細構造異常の系統的変化を測定する。さらに入射ビーム量を低減した測定を行い、低収量の原子核への適用性を議論する。
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Research Products
(4 results)