2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19204031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小宮山 進 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153677)
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Keywords | 量子ホール系 / 核スピン / 端状態 / 位相干渉性 / 超微細相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、量子ホール電子系および量子ドット電子系によって核スピン制御や位相制御を行い、それらの応用展開を図ることである。そのために、平成22年度は (1)核スピン制御について:GaAs系2次元電子系の量子ホール系の端状態に生ずる電子スピンの状態を、核スピン偏極のナノスケールの分布をプローブとして用いることにより探索した。その結果、スピン状態が端状態の中でナノスケールで大きく変化していることを明らかにした。つまり、最も端に近くランダウ準位占有指数が1より小さな領域では単一スピンがゼーマン分離する古典的描像が正しいが、端状態の内側の可圧縮領域では、交換相互作用のために集団的なスカーミオンが形成し、ゼーマン分離が等価的に消失している。そのために、核スピン偏極の異常に早い(1秒以下)緩和をもたらすことを明らかにした。この成果は、核スピンの制御を目指すうえで基本的に重要な知見となる。 さらに、端状態に沿って生ずる核スピン偏極の拡散をマスター方程式をたてて定量的に求めた。既知の格子緩和定数や核スピン同士の双極子相互作用による拡散定数を用いて、核スピン分極の空間プロファイルの時間変化を導出し、その結果が実験結果と良く一致することを示した。 (2)量子ドット電子系と電磁波の結合について:電子と電磁波の強結合系を実現して新たな量子制御を目指すために、直列2重量子ドットをコプラナー型マイクロ波キャビティーに静電的に強結合したcircuit QEDの実現を目指し、直列2重量子ドットの作成と単電子トンネル伝導に成功し、擬似的な2準位系と見なしえるほどに準位間の分離が大きいことを確かめた。さらに、超伝導薄膜(アルミニウム)を量子ドットの基板上に作成し、コプラナー型のマイクロ波共振器を形成することに成功した(共振周波数約8GHz、Q値=1500)。
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Research Products
(7 results)