2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19204032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿崎 明人 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (60106747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典雄 東京大学, 物性研究所, 准教授 (10198228)
松田 巌 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00343103)
奥田 太一 広島大学, 放射光科学研究センター, 准教授 (80313120)
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Keywords | フェムト秒 / 放射光 / 時間分解分光 / 相転移 |
Research Abstract |
本研究では、物質の相転移や化学反応のダイナミウスを研究するための重要な要素技術である超短パルスレーザーと軟X線放射光パルスの精密な時間同期技術を確立し、それによって超高速時間分解軟X線分光実験を試み、本システムを用いた時間分解光電子分光実験装置の開発も行った。 平成19および20年度は、放射光施設(フォトンファクトリー)の軟X線ビームラインで既存の電子分析器を用いて、レーザーと放射光のポンプ・プローブ法による時間分解光電子分光のテスト実験を行い、開発した測定システムのR&Dを行ってきた。 平成21年度は、昨年度までに得たR&Dの成果をふまえて、高輝度放射光施設(スプリングエイト(SPring-8))に建設・整備した最高性能の高輝度軟X線ビームラインBL07LSUにレーザーシステムを移設し、より高い時間分解能と信号検出能力を持つ2次元角度分解飛行時間型電子分析器を本システムに繰り込んだ。その結果、システム全体の同期及び遅延時間の制御を10ピコ秒以下で行うことができた。また赤外~可視光のフェムト秒レーザーパルスと軟X線放射光パルスを用いたポンプ・プローブ実験をBL07LSUで行い、半導体表面のキャリアダイナミクスを時間分解軟X線光電子分光測定で捉えることに成功した。 本研究で開発した同期・遅延時間制御の要素技術では、時間誤差が放射光のパルス幅(約50ピコ秒)よりも十分小さいく、本研究が当初目指した目標は達成されたといえる。また本研究によって、世界に例のない新しい時間分解角度分解型軟X線光電子分光測定システムが初めて導入された。現在、本装置は全国共同利用実験に供されている。 なお、本研究の成果の一部は、学会で発表され学会発表賞を受賞した。
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Research Products
(1 results)