2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19204035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 禎通 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (60005973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椎八重 航 理化学研究所, 基幹研究所, 研究員 (20273253)
森 道康 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (30396519)
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60171485)
家田 淳一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20463797)
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Keywords | 磁性半導体 / 量子モンテカルロ法 / 強磁性体 / 不純物準位 / MgO |
Research Abstract |
強相関電子系では、様々な電子の秩序相(強磁性相、超伝導相等)が競合する。当研究の目的は、多体電子系の数値計算法を用いて、強相関電子系における競合する相の関係を明らかにし、その競合から生じる新奇な量子現象を引き出すことである。 多くの強相関電子系の中でも磁性半導体はユニークな物理的特長を持っている。 磁性半導体の物性研究には、半導体としての電子構造(バンド構造)と磁性イオンの電子相関を同時に取り込む必要がある。 我々は第一原理計算で求めた電子構造を磁性不純物に対するアンダーソンモデルにマップし、このモデルを量子モンテカルロ計算するプログラムを完成させた。そして、様々な磁性半導体に応用してきた。特に、磁性半導体では、金属強磁性体とは違い電子状態と磁性状態を同時に解く必要がある。例えば、磁気モーメントの温度変化は伝導帯や不純物状態へのキャリアの温度分布に強く依存する。 近年、磁性イオンを含まない強磁性体、「d^0-強磁性体」の可能性が注目される。例えば、MgO結晶中にNイオンを導入することによりNイオン中に局在した電子が強磁性を発現する可能性がある。MgOはトンネル磁気抵抗素子のトンネル障壁として利用されることから、トンネル障壁に磁性を導入できれば様々な新しい発展が期待される。我々は上記のプログラムをNイオンを含むMgOに拡張し、室温強磁性の可能性を示した。この系では電子状態と磁性が強く関係しているため、我々のプログラムが特に威力を発揮する。
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