2009 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物界面における新規強相関電子状態の放射光分光と探索
Project/Area Number |
19204037
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤森 淳 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (10209108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
組頭 広志 東京大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00345092)
|
Keywords | 遷移金属酸化物 / 超薄膜 / パルス堆積法 / 光電子分光 / 界面 |
Research Abstract |
・バンド幅制御による金属・絶縁体転移(MIT)の起源を調べるための新たな手法として,酸化物量子井戸構造による次元性制御MITというアプローチを開発した.具体的には,伝導性酸化物であるSrVO3(SVO)超薄膜をSrTiO3(STO)基板上に作製し,その膜厚を原子レベルで制御してその場光電子分光を行った.その結果,元素置換系(Sr,Ca)VO3ではMITが報告されていないペロブスカイトV酸化物において膜厚依存のMITを観測し,その実験結果を理論計算と比較することにより,観測されたMITが次元性の低下(3次元から2次元)に由来したMITであることを明らかにした. ・STO基板上にエピタキシャル成長させたSVO厚膜について高分解能角度分解光電子分光測定を行ない,バンド分散とフェルミ面を精密に決定した.その結果,バルクのSVO結晶に比べてバンド分散が弱まり,フェルミ面の体積が増大していることを見出した.これらの変化を,STO基板からの引っ張り圧力と表面における電荷再配分によるものと解釈した. ・(La,Sr)MnO3/Nb:STO界面(LSMO/STO界面)で生じる界面ダイポールの起源を明らかにするために,極性/非極性界面であるLSMO/STO(001)と極性/極性界面であるLSMO/STO(110)についてバンドダイアグラムを決定した.その結果,ショットキー障壁の値は面方位にほとんど依存しないことが明らかになった.
|