2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波領域におけるナノ磁性体の輸送特性とスピンダイオード効果の研究
Project/Area Number |
19204039
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮島 英紀 Keio University, 理工学部, 教授 (70166180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 明啓 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70423035)
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Keywords | ナノ磁性 / スピンダイオード効果 / 強磁性共鳴 / スピン波共鳴 / メタマテリアル / 強磁性ナノ細線 |
Research Abstract |
微細加工技術によって作製したナノサイズあるいはミクロンサイズの人工磁性体の高周波応答特性を系統的に測定して、新しい高周波素子への応用や基礎科学の充実を図った.当該年度には以下の成果を得ることができた. 1)強磁性Ni_<81>Fe_<19>細線にマイクロ波電力を直接入力した際に、細線両端に直流電圧が発生する現象の解明を行った.発生した直流電圧の外部磁場角度依存性を測定し、現象論的な解析モデルを構築して実験結果を説明することが出来た. 2)スピンダイオード効果を用いて単一磁壁の内部構造に起因する信号を得ることが出来た.ナノスケールでの磁気情報を検出する手法として利用できる可能性を示した. 3)スピンダイオード効果を用いた検波素子の提案と検波特性を示した実験を行った.共鳴状態を利用するので,バンドバスフィルターなどが必要なく,素子構造を微細化することが出来ることが分かった. 4)強磁性細線に対して,高周波磁場励起による強磁性共鳴状態を形成する測定手法と検出手段を開発した.先の整流効果と同様に外部磁場印加角度依存性を測定し,解析モデルと整合する結果が得られたことから,今後は自在に強磁性共鳴を局所領域で実現することが出来ることを示した. 5)強磁性体による伝導電子の量子位相への影響を研究するために,金属ナノリング試料を作製しAB効果の測定を行った.非磁性試料における量子干渉効果が強磁性体を非磁性層に積み重ねるにつれて,減衰していく様子が得られた.量子干渉効果に対する強磁性体の量子位相擾乱効果を定量的に測定することが出来た初めての結果である. 上述した研究は、いずれも基礎物理の解明と応用研究への礎となっており,わが国の科学技術の根幹となる重要な結果を得ることが出来た.
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