2007 Fiscal Year Annual Research Report
配列または配向した分子中からの高次高調波発生とその物理
Project/Area Number |
19204041
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 広文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20322034)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峰本 紳一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90323493)
|
Keywords | 原子・分子物理 / 高性能レーザー / 配列・配向分子 / 高次高調波発生 / 搬送波包絡位相 / プラズマシャッター / 立体ダイナミクス / 超高速イメージング |
Research Abstract |
分子の回転周期よりも長いパルス幅をもつ高強度レーザー電場と静電場を併用する手法により,レーザー電場の存在下で分子の頭と尻尾を区別して向きを揃える配向制御が可能である。しかし,高強度レーザー電場の存在が,観測したい物理・化学現象に影響を与える可能性があることから,レーザー電場の存在しない条件下での分子配向の実現が望まれていた。本研究では,上記のように分子の回転周期よりも長いパルス幅をもつレーザー電場と静電場を併用する手法がいわゆる断熱領域で有効であることに着目し,分子の回転周期よりも十分ゆっくり立ち上がり,ピーク強度付近で急峻にスイッチオフされるようにレーザーパルスを整形し,レーザーのピーク強度付近で実現した分子配向を,分子の回転周期後に再現する手法を実現することを主目的としている。 本年度は,直線偏光したレーザー光を用い,レーザー電場のない条件下でOCS分子の1次元的な配向の実現に初めて成功した。急峻に遮断されるパルスはパルス幅12ns,エネルギー〜80mJ/pulseのNd:YAGレーザー光の基本波にプラズマシャッター法を適用する高度な技術を開発することにより整形した。飛行時間型質量分析器を用いてOCS分子の配向度の時間発展を解析したところ,レーザー光のピーク強度付近で達成された配向度とほぼ同程度の配向度がOCS分子の回転周期後(〜82ps)に,事実上レーザー電場の存在しない条件下で達成されていることを確認できた。 さらに,高次高調波発生実験のように高い分子密度(10^<18>cm^<-3>程度)が必要な環境で分子配向を実現するための装置開発について検討を加えた。
|
Research Products
(5 results)