2008 Fiscal Year Annual Research Report
配列または配向した分子中からの高次高調波発生とその物理
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19204041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 広文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20322034)
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Keywords | 原子・分子物理 / 高性能レーザー / 配列・配向分子 / 高次高調波発生 / 搬送波包絡位相 / プラズマシャッター / 立体ダイナミクス / 超高速イメージング |
Research Abstract |
2波長レーザー光により形成される非対称レ「ザー電場を用いた分子配向制御に初めて成功した。2波長レーザー光として、ナノ秒Nd: YAGレーザーの基本波(波長λ=1064nm)とその第2高調波(λ=532nm)を用い、2波長間の相対位相差は溶融石英板を用いて制御した。OCS分子を用いて検証実験を行った。配向状態を観測する為に、ナノ秒レーザー光のピーク強度付近で高強度フェムト秒レーザー光を照射してOCS分子を多価イオン化し、クーロン爆裂で生成されたフラグメントイオンを2次元イオン画像化法で観測したところ、2波長間の相対位相の変化に応じて分子配向を制御できることが確認できた。この成果は、静電場を用いずに分子の配向制御を初めて実現したものであり、本研究の基盤となるレーザー電場を用いた分子配向制御における画期的な成果といえる。実際、レーザーの偏光方向や相対位相差を変えるだけで分子の向きを自由に変えることができるので、「分子内電子の立体ダイナミクス」の開拓に資するだけでなく、近年注目されている分子デバイスの実現への道を拓くものである。 今年度はさらに、2波長レーザー光をそのピーク強度付近で急峻に遮断することにより、遮断直後や分子の回転周期後に完全にフィールドフリーな条件下で分子配向を実現する為の2波長プラズマシャッター技術の開発にも着手し、問題点を明らかにした。 高次高調波発生に関しては、希薄な希ガス原子媒質を用いた高調波スペクトルの観測結果と正確な再衝突電子波束から希ガス原子の放射再結合断面積を評価できることを初めて明らかにした。これは高次高調波を用いた原子や分子の超高速ダイナミックイメージングへの道を拓く成果である。
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Research Products
(21 results)