2008 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエ変換マイクロ波分光法によるラジカル錯体の検出とその運動ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
19205002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰樹 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40106159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 吉英 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50291331)
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Keywords | フリーラジカル / ラジカル錯体 / フーリエ変換マイクロ波分光 / 二重共鳴分光法 / 大幅振動運動 / 分子間ポテンシャル |
Research Abstract |
極めて弱い化学結合を持つラジカル種や、ラジカル錯体をフーリエ変換マイクロ波分光法や、同装置を利用したマイクロ波-ミリ波、サブミリ波二重共鳴分光法を用いて検出し、その内部運動ダイナミクスを明らかにすることを目指している。平成20年度は、平成19年度までにこのような分子種の大振幅の内部運動を明らかにするために、二重共鳴分光法の観測可能周波数範囲をサブミリ波領域まで拡張して大振幅運動の準位間の直接遷移を観測できる態勢を整えるべく導入した、Farran杜の周波数逓倍器とELVA社のBWO発振器の試用を開始した。 前者は、300GHz前後の光源となるもので、ファンデアワールス結合間の変角振動を観測することを目指している。一方、後者はより周波数の高い600GHz前後の光源で、伸縮振動を観測できる周波数帯の光源となる。Farran社の周波数逓倍器は、その動作確認を行い、既知の分子錯体のサブミリ波領域の予備的な実験でその動作を確かめ、現在Ar-OH錯体の変角振動励起状態への遷移の観測を試みている。BWO発振器は導入が平成20年度までずれ込んだが、基本的な動作の確認を行い、現在周辺機器の設計、制作中である。 また、ラジカル錯体の大振幅運動の解析方法、解析プログラムの開発の一環として、Ar-NO錯体の分光と、分子間ポテンシャルの決定を行い、論文として発表しが、平成20年度には、これに続きNe-NO、He-NOの純回転スペクトルを観測した。Ar-NOは、ある程度既報のデータがあったため、それを基に分子間相互作用ポテンシャルを予測できたが、Ne-NO、He-NOは全く新規の系であったため、高精度の分子軌道計算によるポテンシャル面の予測を行い、その結果を元にそのスペクトルを探し、観測することができた。現在、分子間相互作用ポテンシャルからマイクロ波遷移を予測する手法を、2原子分子-2原子ラジカル錯体まで適用できるように拡張し、H_2-NOのスペクトルも探している。
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Research Products
(12 results)