2010 Fiscal Year Annual Research Report
光導波路分光法による担持有機金属ナノクラスターの光物性の解明
Project/Area Number |
19205004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30217715)
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Keywords | ナノクラスター / 有機金属 / 光導波路分光 / ソフトランディング / 光物性 / マグネトロン |
Research Abstract |
本研究では、ソフトランディング単離法を用いて、低次元ネットワーク構造を有する有機金属ナノクラスターを非破壊的に単離・担持し、配向を含めた吸着構造を制御するとともに、有機金属ナノクラスターの光学特性の解明を目指した。有機単分子膜上あるいは内部に単離・担持された有機金属ナノクラスターの光学特性について解明を進めるために、19年度導入の光導波路分光システム、20年度導入の走査型トンネル顕微鏡、21年度導入のマグネトロンスパッタリング法を用いた高強度クラスター源、を高度化させながら利用して、平成22年度は有機金属ナノクラスタービーム源と担持状態評価システムの統合化とスペクトル測定、および大量合成された有機金属ナノクラスターの光吸収・発光特性の解明、の2つの課題を推進した。 担持状態評価システムの統合化とスペクトル測定への展開として、可視光透過性と導電性をもつ酸化物表面を気相クラスターで修飾する手法を考案した。酸化スズ表面にヘキサデカン酸の自己組織化単分子膜を形成し、クロム-ベンゼンクラスターをソフトランディングさせた。クラスターは気相での幾何構造を保持したまま単分子膜内に単離され、さらにクラスターが配向することが明らかとなった。また、大量合成された有機金属ナノクラスターの光吸収・発光特性を明らかにするために、気相クラスターをモデル化合物とした大量合成手法の構築を進め、ユウロピウム(Eu)とシクロオクタテトラエン(COT)分子からなるサンドイッチクラスター(Eu_n(COT)_m)の大量合成手法を確立した。得られた生成物の構造を赤外分光法により評価し、また発光特性を蛍光分光法により検証して可視光応答性を見出した。 これらの研究の推進に必要な装置の性能を十分に引き出すために、排気系を強化することが必須であると判断し、ターボ分子ポンプ、スクロールポンプ、真空チェンバー、イオン検出器などの備品の購入に研究費を活用した。
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