2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19205006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80127886)
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Keywords | ポルフィリン / 環拡張ポルフィリン / ポルフィリンテープ / メビウス芳香族性 / 芳香族性 / 2光子吸収断面積 / 反芳香族性 / 共役 |
Research Abstract |
芳香族性におけるトポロジーという新しい課題の解明の一環として、メビウス芳香族性の化学の展開を行った。依然、メビウス芳香族性分子の例が少ないので、新しいメビウス芳香族性分子の開拓を主に行った。[36]オクタフィリンや[32]ヘプタフィリンやヘキサフィリンなどの環拡張ポルフィリンを非極性溶媒中で、プロトン化することにより、捻れた分子構造と明確な芳香族性を持つメビウス芳香族性が生成することを見いだした。また、[38]オクタフィリンはヒュッケル構造の芳香族性分子であるが、プロトン化すると芳香族性が強まることがわかった。また、[26]ヘキサフィリンを単に酢酸中で加熱するだけで、側鎖にベンゾピラン環が縮環した生成物が得られ、これがメビウス芳香族性をしめすことを明らかにし、このメビウス芳香族性分子の光物性を明らかにした。β位にフェニル置換したヘキサフィリンでもプロトン化やパラジウム錯化によりメビウス芳香族分子が生成することを見つけた。これらの成果は、国際的に非常に大きな反響を呼びつつある。更に、メゾに3-thienyl基をもつ[26]hexaphyrinを加熱すると3-thienyl基がヘキサフィンのβに縮環子、はやりメビウス芳香族性を示すことを発見した。これらの結果に一部は公表され、国際的に非常に大きな反響を呼びつつある。また、メゾフリーヘキサフィリンのニッケル錯体を加水分解したところ、ジケトヘキサフィリンが得られたが、これが驚くべきことに安定なビラジカルであることがわかった。また、ヘプタフィリンやオクタフィリンの銅錯体を酸化することにより、共役の広がったヘリカルな分子が生成し、その吸収極大は遠赤外にまで達することがわかった。
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Research Products
(3 results)