2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素のマスキングを鍵とする有機ボロン酸の新反応化学
Project/Area Number |
19205007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉野目 道紀 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (60252483)
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Keywords | 有機ボロン酸 / クロスカップリング / 反復合成 / 保護基 / マスキング / 1,8-ジアミノナフタレン / 分枝オリゴアレーン / C-H官能基化 |
Research Abstract |
本研究は有機ボロン酸の効率的な合成手法の開拓を目的とし,ホウ素の一時的な保護,すなわちマスキングを利用した「炭素-ホウ素結合を保ちながら行う」ボロン酸合成法を開発しようとするものである。本研究期間において,ホウ素のマスキングを利用した新しいホウ素化合物合成法を開発したので報告する。 1.前年度に開発し報告した,窒素原子上にヒドロキシアルキル基を有する1,8-ジアミノナフタレンを保護基として用い,従来型の1,8-ジアミノナフタレン保護基と区別して用いることにより,ベンゼン環の1,3,5位で段階的にクロスカップリングを行い,非対称な分枝オリゴアレーンを選択的に合成する手法を確立した。 2.触媒に対して配位結合する部位をアリールボロン酸のホウ素上に一時的に導入し,その配位効果によってアリール基オルト位のC-H結合を位置選択的にシリル化する反応系を確立した。この配向基は反応終了後に容易に除去することができる。これらの反応は途中で生成する中間生成物を単離することなく,全て一つの反応容器で行うことが可能であり,アリールボロン酸を出発原料とするo-シリルアリールボロン酸のワンポット合成法として有用である。
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